寄付金よりも大切なものを与えた“馬のお兄ちゃん”

[ 2015年7月3日 05:30 ]

今野忠成騎手

 【地方競馬です!!】川崎競馬にはヒーローがいる。今野忠成騎手(38=川崎・安池)はデビュー2年目の96年から19年間、自身が小中学校時代を過ごした神奈川県藤沢市の児童養護施設「聖園子供の家」に寄付を続けてきた。その寄付金が1000万円に達したことを記念し、6月19日に同施設の子どもたちから感謝状が送られた。

 寄付を始めたのは師匠の故鈴木敏一師に「今の自分があるのは施設のおかげ。恩返しをしなさい」と言われたからだった。最初はここまで続くと思っていなかった。喜んでくれる子どもたちの笑顔がうれしかった。一度も馬乗りでは褒めなかった師が、寄付を10年続けた時、褒めてくれた。今は1年でも長く続けたいと思っている。

 「施設育ちと初めは言われるかもしれない。でも、頑張れば夢をかなえて成功できる。そのことを自分が見せたかった」。2度の大ケガを乗り越え、13年には地方通算2000勝を達成。そして今年は東京ダービーを制し「ダービージョッキー」の称号を手にした。騎手として前に進み続け、その背中を見せてきた。

 感謝状を受け取った当日にはホースセラピーのイベントを行い、子どもたちを喜ばせた。ヒーローと言われれば照れる“馬のお兄ちゃん”は、お金だけじゃない、本当に大切なものを子どもたちに与えてきたのだと思う。 (秋田 麻由子)

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2015年7月3日のニュース