【ヴィクトリアＭ】出た～っ！Ｇ１史上最高配当2070万馬券

[ 2015年5月18日 05:30 ]

　出たぁ～、２０００万馬券！！東京競馬場で１７日に行われたＧ１「第１０回ヴィクトリアマイル」で、ＪＲＡ・Ｇ１歴代１位となる２０７０万５８１０円、全レースでも史上２番目となる超大穴馬券が飛び出した。１着は５番人気ストレイトガールだったが、２着に１２番人気ケイアイエレガント、３着に最低１８番人気のミナレットが入ったことで大波乱となった。

　払戻金が電光掲示板に表示されると、４万９０５８人が詰めかけた東京競馬場のスタンドは悲鳴と絶叫に包まれた。３連単２０７０万５８１０円は０８年秋華賞の１０９８万２０２０円のＪＲＡ・Ｇ１史上最高額を大幅に更新する超大穴馬券。ＪＲＡ全レースでも歴代２位に入るビッグ配当となった。３連単（５）（７）（１８）の組み合わせは、４８９６通り中４１４０番人気で、的中は５５９７万７０９７票中わずか１９６票（１票１００円）だった。

　世紀の大波乱の立役者となったのは最低１８番人気のミナレット。登録時はフルゲート１８頭に対して賞金順で１９番目。本来は次点で出走できない立場だったのだが、デニムアンドルビーの回避でＧ１初出走のチャンスが巡ってきた。

　鞍上の江田照は「最初から逃げようと思っていた」と振り返った。課題の発馬を決めると、大外枠から一気に逃げた。後続を４～５馬身突き放しマイペースに持ち込む。残り１００メートルでケイアイエレガント、ストレイトガールにかわされたが、長い府中の直線で驚異の粘りを見せ、馬券圏内の３着に逃げ残った。

　江田照が同馬に騎乗するのは初めて。００年スプリンターズＳで１６番人気ダイタクヤマトを優勝に導くなど“穴ジョッキー”として知られるが、コンビが決まったのは木曜日、レースの３日前だった。引き揚げてきた江田照は「（複勝）８５００円！（３連単）２０００万円！！俺の馬でだろ！？」としてやったりの表情。

　さらに「（直線の）坂でもよく我慢してくれた」と相棒の粘りを褒めれば、清水オーナーも「ジョッキーが彼女の持ち味を出してくれた。イチかバチかのネコパンチ作戦です」とにやり。１２年日経賞で同じく江田照を背に、１２番人気で逃げ切ったネコパンチを引き合いに出し、周囲を笑わせた。

　驚くべきは３連単の歴代最高配当額２９８３万２９５０円をマークしたレースにも、同馬が絡んでいたこと。歴代１位の１２年８月４日の新潟新馬戦の１着馬が、１７頭立て１４番人気のミナレットだったのだ。管理する大和田成師（３９）は「夢を見ました。一瞬だったけど（笑い）。オーナー（ミルファームの清水敏代表）は“偉い子だ”って涙ぐんでましたよ」と冷静にコメント。同馬は１１年北海道オータムセールでわずか８４万円で取引された５歳牝馬。このレースが実に３４戦目で、１億１３７２万７０００円もの賞金を稼ぎ出した。

　高額配当ランクの１、２位に名を刻んだ“世紀の穴馬”の誕生。幸運の女神として、ミナレットブームが巻き起こるかもしれない。

　≪複勝、３連複など重賞史上１位≫ミナレットの複勝８５００円は、８９年エリザベス女王杯（サンドピアリス）の７６７０円を更新するＪＲＡ重賞史上１位。ワイド（７）（１８）８万６５８０円、３連複（５）（７）（１８）２８６万４８０円も同１位を更新した。

　≪ミナレットの新馬戦ＶＴＲ≫スタートから４角まで逃げたヘイハチピカチャンを見る形で２番手追走。直線に向くと粘り込みを図るヘイハチを追い詰め、首差捉えたところがゴール。直後の３番手に構えていたファイヤーヒースがしぶとく伸び、粘ったヘイハチと２着同着。３連単は２通り的中となったが、同着ではなく（８）―（６）―（１４）で決まっていた場合、５９６６万５９８０円の配当になっていた。

　≪過去のＧ１大穴馬≫今も語り継がれるのは８９年エリザベス女王杯Ｖのサンドピアリス。２０頭立て２０番人気で、単勝４万３０６０円は現在も重賞最高配当。ブラックエンブレム（１１番人気）が勝った０８年秋華賞は３連単が１０００万円を超えたが、３着の１６番人気プロヴィナージュが配当を押し上げた。０７年ＮＨＫマイルＣは１８頭立て１７番人気のピンクカメオが１着、１８番人気ムラマサノヨートーが３着で３連単９７０万円超え。　

　◆ミナレット　父スズカマンボ、母ノワゼット（母の父ウォーニング）牝５歳　美浦・大和田厩舎所属　馬主・ミルファーム　生産者・北海道新ひだか町キヨタケ牧場　戦績３４戦５勝　総獲得賞金１億１３７２万７０００円。

　◆江田　照男（えだ・てるお）１９７２年（昭４７）２月８日、福島県出身の４３歳。初騎乗は９０年３月３日中山１Ｒのカガミヤマ（４着）。同４月１日中山１Ｒのカガミヤマで初勝利。ＪＲＡ通算１万３９３４戦８３１勝（重賞２８勝）。１メートル５６、４９キロ。