【高松宮記念】アンバルブライベン 大舞台で決める「作戦S」

[ 2015年3月27日 05:30 ]

 【G1ドキュメント=26日】1週前に坂路49秒6の猛烈タイムで駆け上がったアンバルブライベンがこの日の追い切りは56秒8と“静”に徹した。

 「油断したら速くなりそうな雰囲気だった」

 田中健は馬が走ることに集中し過ぎないよう、首を横に向けるなど手綱で操作。うまく気を散らして緩ペースで仕上げた。満足げに見守った福島師は「作戦はABCもない。一通りだけ。Sだな」と、スタート勝負の頭文字を取って命名「作戦S」と笑った。

 この馬には逃げ馬にありがちな先行争いが意外なほど少ないのが不思議だったが「1完歩目が違う。抜群に速い」の田中健の言葉で理解できた。最大の武器はロケットスタート。同型の対戦相手はハナを競う態勢にすら持ち込めないのだ。

 騎手にはG1常連がいれば反対にワンチャンスに懸けるタイプもある。田中健は後者。「結果を出したい」は本音だろう。広島県出身とあってプロ野球はカープファン。スマホのLINEの表紙は球団マスコットキャラクター・カープ坊やという郷土愛。実家は印刷会社を営んでおり、雑学としてカラー刷りなどの工程も知識にある。ひょうひょうとした人柄も魅力だ。

 高松宮記念。スタートを戦闘の合図とするならゴングを鳴らすのはアンバルブライベン。菱田は人馬一体の逃走劇にエールを送る。

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2015年3月27日のニュース