JRA所属初の外国人騎手誕生 ルメール、猛勉強実り一発合格!

[ 2015年2月6日 05:30 ]

合格者と記念写真に納まるルメール(右から2人目)。左から加藤祥太、鮫島克駿、右は三津谷隼人

 JRAは5日、15年度新規騎手免許2次試験の合格者を発表した。日本でもおなじみのクリストフ・ルメール(35=フランス)、ミルコ・デムーロ(36=イタリア)が見事、難関を突破。短期免許ができた94年以降の現行の免許制度で初となる、JRA所属の外国人ジョッキーとして来月1日に新たな“デビュー”を飾る。

 新規騎手免許試験を初めて受験したルメールが一発で合格。栗東トレセン事務所で会見に臨み、一日2時間の勉強で覚えた日本語を駆使して喜びを伝えた。

 「本当にうれしいです。日本の競馬は世界で一番だと思っています。日本で乗るのは新しい騎手人生の始まりです」

 これまで外国人騎手は年間で最長3カ月の短期免許か、指定競走の限定免許でしか騎乗できなかったが一昨年8月に公示された試験要項でJRAは外国人騎手に対する受験規定を初めて明文化。英語による1次試験(筆記試験)の受験が可能になったことで外国人騎手にも門戸が開かれた。

 ただし、ルメールにとって英語は母国語ではなく、さらに2次試験が日本語での口頭試問とあってクリアすべきハードルは高かった。合否に関しては「日本人と同じレベルを求める」というのがJRAのスタンス。昨年度はひと足早くミルコ・デムーロが受験したが1次試験で不合格になっている。もちろん、JRA通算245勝、重賞を18勝しているルメールも優遇されることは一切なかった。

 難関を突破するため、昨年11月24日に京都で落馬負傷(右脛=けい=骨骨折など)してからもフランスに帰国することなく、日本に滞在。徹底的に日本語漬けの生活を送ってきた。日本の友人に送るメールも英語ではなく「Genki desuka?」などアルファベットで可能な限り日本語を使用。小さなことからコツコツ積み重ねてきた。

 母国イタリア競馬界の衰退で活躍の場を異国に求めるデムーロとフランス人のルメールでは立場が違う。JRA通年免許取得はフランス騎手免許返上を意味しており、そこに残りの騎手人生を日本で勝負していく意気込みが表れている。

 「日本の施設は素晴らしいし、毎週レースがある。いっぱい勝ちたい。一生懸命頑張ります」

 昨秋に負ったケガは順調に回復している。6日にいったんフランスに帰国。手続きなどをこなして近々、調教騎乗を再開する。来月1日、JRA所属ジョッキーとして新たな一歩を踏み出す。

 ◆クリストフ・ルメール 1979年5月20日、フランス生まれの35歳。99年にフランスでデビュー。03年パリ大賞でG1初制覇。JRAでは02年に短期免許で初騎乗。JRA通算245勝。G1は05年有馬記念(ハーツクライ)など5勝。

 ▼武豊(日本騎手クラブ会長)2人は長年かかって日本でのポジションを築いてきたわけですからね。僕は受験勉強をする姿も見て努力を知っていたので合格を願っていました。これから一緒になって日本の競馬を盛り上げていきたい、と思います。

 ▼福永 今回(2人)は短期免許での実績があり、人となりも知っているので異論はないが、門戸を広げ過ぎでは。海外とは教育も文化も違う。「公正確保」を実現する上でも今後は、もう少し様子を見るべきではないかと思う。

 ▼後藤 短期免許制度が始まった時点から、いずれはこうなると思っていた。その時が来たということだし、心構えはできている。

 ▼戸崎 時代の流れだと思います。日本の馬がこれだけ海外で活躍しているのだから、騎手がそうなるのも当然。負けられない。

 ▼橋口師 おめでとう、よく頑張った。2人とも年間100勝以上しそうだな。騎手の勢力図がどうなるか、ファンの皆さんと同じように私も楽しみ。

 ▼過去の外国人騎手免許取得 現行の免許制度が確立する以前では、2人の米国人騎手がJRAで免許を取得して騎乗している。55年のロバート・アイアノッティは22戦1勝。74年のミカエル・ベネジアは25戦2勝の成績を残している。アイアノッティは進駐軍の兵士として来日し除隊後に免許を取得。

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