【フェアリーS】伏兵フォーマル大金星!黛、父と獲った重賞初V

[ 2015年1月13日 05:30 ]

ノットフォーマル担当助手の父・幸弘さんと握手を交わす黛

 桜花賞を見据える3歳牝馬が集結した「第31回フェアリーS」は12日に中山競馬場で行われ、11番人気の伏兵ノットフォーマルが逃げ切って重賞初V。鞍上の黛弘人(29)は10年目で初の重賞制覇、管理する中野栄治師(61)は01年トロットスターで制したスプリンターズS以来、14年ぶりとなる重賞タイトルとなった。またヴァーミリアン産駒も重賞初勝利となった。

【レース結果】

 黛騎乗のノットフォーマルがしぶとく逃げ切った。手綱を押してハナを奪うと、2番手以下をすぐ後ろに引き連れ、マイペースで馬群を引っ張った。脚色衰えぬまま直線へ。急坂を迎え鞍上が必死の左ムチを入れると、フォーマルはそれに応え、外から襲いかかったローデッドを3/4馬身差抑え、ゴールに飛び込んだ。

 黛はデビュー10年目の重賞初制覇だったが、派手なガッツポーズはなかった。というよりも、する余裕がなかったというべきか。レース直後は「この馬のしぶとさを生かせた。今まで助けてくれた人たちに感謝したい」と言葉を詰まらせながらインタビューに応じていた。しばらくしてからも「いつ夢が覚めてしまうのか、と。インタビューもあまり覚えていない。泣きそうになったけど、涙はG1までとっておこうと我慢しました」となかなか興奮が収まらなかった。

 父子でつかんだタイトルだ。フォーマルを担当する黛幸弘助手は同騎手の父。元騎手でもあり、助手転身後はかつて中野厩舎をけん引したG1馬、トロットスター(01年高松宮記念、スプリンターズS)の調教もつけていた。パドックでは「重賞って雰囲気がいいよね」と父と言葉を交わしていた。重賞初Vが父の担当馬という、この上ない巡り合わせ。「いつか勝ちたいと思っていたけど…。夢の中の夢の出来事」と喜びをかみ締めた。

 中野師にとっては14年ぶりの重賞制覇。レース後、頬は紅潮し、目は少し潤んでいた。「ゴール前は結構冷静に見ていられた。久々の重賞の味?ちょっとしょっぱいかな。きょうはおいしいお酒が飲めそう」。酒好きの師らしく、ユーモアたっぷりに喜びを表現した。目標は桜花賞。「堂々と進みたい。輸送も苦にしないので、東西含めてトライアルを考えている」とプランを明かした。

 父ヴァーミリアンはダート王として鳴らしたが、黛も「芝、ダートはこだわらない。これから先も馬を信じて乗っていきたい」と自信を口にした。ノットフォーマルの名の通り、形にこだわらないド根性娘が春の牝馬戦線をにぎわせてくれそうだ。

 ◆ノットフォーマル 父ヴァーミリアン 母リミッターブレイク(母の父マンハッタンカフェ)牝3歳 美浦・中野厩舎所属 馬主・芳賀克也氏 生産者・北海道新ひだか町千代田牧場 戦績8戦2勝 総獲得賞金4968万3000円(戦績、賞金共に地方含む)。

 ◆黛 弘人(まゆずみ・ひろと)1985年11月12日、茨城県出身の29歳。06年にデビューし、同4月1日中山8Rのイチライタッチで初勝利。JRA通算2733戦92勝(重賞1勝)。1メートル64・7、47キロ。血液型A。妻はタレントの水野由加里。

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