【菊花賞】トーホウジャッカル デビュー最速&圧巻レコードV

[ 2014年10月27日 05:30 ]

菊花賞で驚異のレコードVを飾ったトーホウジャッカル

 牡馬クラシック最終戦「第75回菊花賞」が26日、京都競馬場で行われた。3番人気トーホウジャッカルが早めの直線抜け出しで後続を完封、最後の1冠をものにした。勝ち時計の3分01秒0は従来のJRAレコードを1秒5も更新するもの。東日本大震災に見舞われた11年3月11日に北海道で生を受けた馬が、JRA芝G1初制覇となった酒井学(34)と開業20年目でこちらもG1初制覇となった谷潔師(57)との“絆”でビッグタイトルを手に入れた。また、断然の人気を背負ったワンアンドオンリーは見せ場なく9着に敗れた。

【レース結果】

 3000メートルの長丁場でシ烈な攻防になった直線、トーホウジャッカルが余力を振り絞ってグイッとひと伸び。内で食い下がる2着サウンズオブアースを半馬身差で振り切りG1初制覇のゴール。酒井はファンで埋め尽くされたスタンドに向かって左コブシを突き上げ、喜びを表現した。

 「馬を信頼していました。最初の坂の下りで行きたがるところがあったけど、正面スタンド前でグッと息を入れて、折り合いがつきました。器用さがあって対応力が凄いんです。最後は苦しくなったけど2着馬が来たときにもうひと踏ん張りしてくれました」

 前走・神戸新聞杯は4コーナーで窮屈になり、直線でも進路を切り替えざるを得ない厳しい展開で3着。あの悔しすぎる敗戦をバネにして、この一戦に全てを懸けていた。好スタートを切って道中は好位のインで折り合いに専念。3~4コーナーでジワッと外に出して進路を確保するとためにためた力を直線で一気に爆発させた。勝ち時計3分1秒0は06年にソングオブウインドが刻んだレースレコードを1秒7更新、さらにナリタトップロードが01年阪神大賞典で刻んだJRAレコードを1秒5も縮める驚異的なタイムだった。

 「谷先生が喜んでくださって良かったです。とにかく、ジャッカルを褒めてあげたい。ありがとうとお礼を言いたいですね」

 デビューしたのがダービー前日の5月31日。ゲート試験に受かってすぐに、まだ仕上がり切っていない段階で初戦を迎えた。結果は10着。着順はひと息でも最後方からメンバー最速の上がりを刻んだ走りに酒井は非凡な能力を感じ取った。

 「伸びるときの体の使い方が良くて、まともならすぐに勝ち負けになると思いました」

 デビューから149日目での菊花賞制覇は史上最速。3戦目のマイルでの初勝利から距離を延ばしながら、わずか5カ月でG1ウイナーへと上り詰めた。谷師は「取りあえずゆっくりさせてから、今後を決めたい」と明言を避けたが、一気の成長曲線を描いて3歳の頂点に立った勢いはまだまだとどまることを知らない。さらにその先へ、出世ロードはまだまだ続いていく。

 ◆トーホウジャッカル 父スペシャルウィーク 母トーホウガイア(母の父アンブライドルズソング)牡3歳 栗東・谷厩舎所属 馬主・東豊物産 生産者・北海道日高町竹島幸治氏 戦績7戦3勝 総獲得賞金1億7528万円。

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