【飯塚・日本選手権】背水の陣の地元勢、永井を抑え込めるか

[ 2014年10月25日 05:30 ]

飯塚オートレース場で行われる第46回日本選手権オートレース

 第46回日本選手権オートレースが10月30日から11月3日まで、飯塚オートレース場で行われる。

 日本選手権と言えば、オートの華。数々の名ドラマを演出してきた。その輝く歴史をひもとけば、選手権6Vの最多を誇る飯塚将光(引退)をめぐる激しい戦いがある。
 
 その系譜を継いだのが同じ船橋の片平巧であり、島田信広(引退)、岩田行雄ら。そして輝かしき伝統は、池田政和が引き継ぎ、今、全盛の永井大介に、巧腕・中村雅人と超新星・青山周平が次を伺う盤石の構えだ。
 
 飯塚には絶対エース浦田信輔がいるが、今大会は軒先を貸して母屋をとられる危険性に満ちている。その1番手が今年、さらに進化して10月中旬現在、SGの1回、G1の3回、G2の2回を含む11回の優勝を誇る永井大だ。所属の船橋オート廃止問題で揺れるなか、船橋の選手会支部長としても奮闘が続いているが、その鬼気迫る走りは、まさにプロフェッショナル。

 その真骨頂が9月に行われた伊勢崎のSGオートレースグランプリだった。準決まで青色吐息。とても優勝までたどり着く様相ではなかった。それが「選手になって初めてくらい整備した」と連日の整備が徐々に奏功し、優勝戦では独走に持ち込んだ青山周をみごとに捉えた。自身、12回目のSG優勝を成し遂げたのは見事の一語。その姿は、様々なものを背負って走るすごみがある。

 船橋・オート祭では雨で優勝3着に終わったが、準決の3・388のタイムが秀逸。間違いなくV候補ナンバーワンとして飯塚の地に乗り込む。

 オート界で一番巧い、と称されるのが中村雅。伊勢崎グランプリは腰痛で欠場したが、今や、中村雅のチェイサー劇はSGの大舞台には欠かせないもの。満々の闘志で参戦する“マサト”から目が離せまい。

 そして青山周だ。この超新星はデビュー3年余で、先の船橋・オート祭を含めて早くもG1で6V。とてつもないスピード出世だ。この6Vは、当然に数々のSG戦士との戦いを制してのもの。雨とは言え、先のオート祭決勝も永井大、木村武之、池田政和、金子大輔、武藤博臣らSGウイナー相手に堂々の勝利だった。この優勝セレモニーで見せたとびきりの笑顔は、なにかを吹っ切った感がある。超新星が今度こそ!

 そうはさせじ!と地元陣が背水の陣を敷く。一に浦田、二に荒尾聡、三に田中茂、四に篠原睦…。浦田は飯塚絶対のエースに君臨。地元に賭ける意気は天を衝く。一戦一戦が身上だが、この地元開催の選手権は意味が違う。今年は全日本選抜を制して、すでに暮れの大一番・SS戦の権利は得ている。しかし、それはそれ、これはこれ。飯塚ファンの心はなにがなんでも地元SGは地元が勝て!だ。これに応えるのがエースの役割。だが、ここ数年では10年選手権・永井、12年グランプリ・高橋貢、13年オールスター・永井と外来に3連続で持っていかれるていたらく。ここは一番、用意周到に整備を積み上げ、タイヤも選定してきた浦田の出番だ。

 荒尾の歩行が乱れている。それでも伝家の宝刀・弾丸Sがある限り、選手権では大チャンス。田中茂も06年、SGグランプリ→選手権→スーパースターを3連覇した爆発力を秘める。まだ老け込む年ではない。シゲル再び、を待ち望むファンは多い。

 そして篠原睦だ。先の伊勢崎グランプリ準決、7人抜きからベスト8入り。地元ナイター最終戦でも浦田を2周従え、抜かせずV取り。弾丸Sはいわずもがな、抜きの鋭さも一級品。父・忠次さん(引退)の夢を乗せて、初のSG・Vへ猛チャージだ。

 選手権連覇を狙う木村武も実力者。ここ一番のS力と追いに賭ける執念は他の追随を許さない。そして同じ浜松の金子大輔も飯塚伝統のG1ダイヤモンドレースを制したばかりでその手には好感触が残る。やれる!の自信が大きな武器だ。

 むろん、王者・高橋貢、復調・池田政、怪物くん浜野淳らもV圏内。

 涼やかな風とは、不釣り合いな激戦はまさに火花散る熱投譜。演奏者は多士済々。11月3日のフィナーレにどんな名曲が響き渡るのか、興味は尽きない。

続きを表示

2014年10月25日のニュース