【セントライト記念】イスラボニータ 最強の切れ味5F70秒1

[ 2014年9月18日 05:30 ]

Wコースでイオラニ(右)と併せて追い切られるイスラボニータ

 「第68回セントライト記念」の追い切りが17日、美浦、栗東トレセンで行われた。皐月賞馬イスラボニータが圧巻の切れ味を披露。ダービー(2着)以来3カ月半ぶりとなる休養明けの不安を一蹴した。

【セントライト記念】

 一流馬に絶好調はいらない、普通の体調であればいい…とはシンボリルドルフのオーナーブリーダー、故・和田共弘氏の名言。イスラボニータの感触を問われた主戦・蛯名が期せずして同じ言葉を口にした。「このクラスの競走馬は変わっていないことが一番。3歳世代で一番強いのだから普通の状態でいい」。山猫のように両前肢を水平に伸ばす独特な走法と敏しょう性で春のクラシックの主役を演じた。蛯名はその類いまれな性能に全幅の信頼を寄せる。

 最終追い切りでも今春と変わらない凄みある脚力を見せた。Wコースで5Fからイオラニ(3歳500万)の4馬身後方を追走していく。直線に向いても手綱を抑えたまま3馬身の差。ラスト1Fで軽く仕掛けると、瞬時に並び掛けた。獲物を追う山猫さながらの身のこなしと闘争心。調教スタンドでは5F70秒1の時計を確認した栗田博師に笑みが浮かんだ。「先週までの追い切りで体も息遣いもできているから速いタイムはもういらない。道中ゆったり走らせ、しまいだけ反応させる理想的な稽古だった」。満足そうに口火を切ると、こう続けた。「先があるから秋初戦は8割5分ぐらいの仕上がり。マークされる立場にもなるが、それを振り切るぐらいの競馬をしてもらわないと」

 サラブレッドにとって、3歳春から秋にかけての数カ月は成長期とされる。春と変わらない走りを見せたイスラボニータにもひと夏越した成長の跡が垣間見える。「馬体重は春とほぼ同じでも首差しがたくましくなった。落ち着きが出て、ダク(キャンターに移行する直前の脚の運び)も少しできるようになった。遅生まれ(5月21日生まれ)の分、成長の余地は残っている」(同師)。その伸びしろをぶつけるのは秋の天皇賞か、それとも菊花賞か。「セントライト記念のレースぶりを見て考えたい。絵の具に12色や16色のバリエーションがあるようにいろいろな可能性がある馬。それにふさわしいパレットを用意しないとね(笑い)」

 皐月賞馬がセントライト記念を勝てば84年シンボリルドルフ以来30年ぶり4頭目。普通の体調で秋初戦にどんな色彩を描くのだろうか。

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