船橋オート廃止を正式発表 選手会の声届かず、反対訴えは継続

[ 2014年8月13日 05:30 ]

(写真上)15年度末での船橋オートの廃止を表明する船橋市の松戸市長と(同下)選手会の声を伝える永井(中央)

 公営競技の船橋オートレースを施行する千葉県と船橋市は12日、同市内で記者会見し、経営難を理由に2015年度末(16年3月)で同オートレースを廃止すると正式表明した。廃止後は場外車券売り場を船橋に開設する方針。オートレース選手会は廃止に反対している。

 オート発祥の地の終わりを発表するには、あまりにあっけなかった。「船橋オートレースを廃止いたします」。松戸徹・船橋市長の言葉が会見場に響いた。廃止の方針が明らかになってから、選手会は抗議し、存続を希望し続けてきたが施行者が顧みることはなかった。

 1950年、船橋競馬場内側のダートコースで行われたのがオートレースの始まり。68年1月に現在の場所へ移転。90年度には739億円を売り上げ、「ミスターオート」飯塚将光、「鉄人」島田信広らが激闘を繰り広げた。だがその後、売り上げは減少。06年には業界初の民間委託を導入したがカンフル剤にはならず。昨年度の売り上げはピーク時の86%減の103億円に落ち込み「税金を投入せずに事業を続けることは困難」として廃止を決めたという。

 開場から45年以上が経過し施設も老朽化。施行者は車券発売・払戻システム更新、走路改修、スタンド耐震工事に14億円以上が必要と試算した。また、船橋市はオートレースによる累積赤字を1億4000万円(千葉県はない)抱えているという。施行者側は7月、選手会に内々に廃止を打診したというが、選手会は「そんな話は聞いていない」と反発。改修費用も7億円で済むはずとの持論を崩しておらず溝は埋まっていない。

 地元の有力選手、永井大介は、あらためて廃止反対を強い口調で表明した。今後、署名運動などの形で反対活動を続けていく。

 ▼永井大介・選手会船橋支部長 存続のための賞金削減案や支援策を提示したにもかかわらず、一方的に廃止会見が行われた。怒りとともに選手としての名誉、誇りを傷つけられた思いだ。ただ、ファンに対しては申し訳ない気持ちでいっぱい。今後は署名活動を行い、メディアにも撤回を訴えていきたい。

 ▼JKA石黒克巳会長(オートレース統括団体)船橋オートレースは、長きにわたり多くのお客さまから愛されてきましただけに今回の発表は非常に残念です。

 【廃止までの経過】

 14年8月1日 全国小型自動車競走施行者会議で千葉県、船橋市が船橋オートを廃止したい旨を報告。

 同5日 一部報道を受け、永井大介船橋支部長が廃止反対を訴える記者会見。

 同7日 最高意思決定機関である小型自動車競走運営協議会であらためて廃止の方針を報告。

 同12日 船橋市内で廃止発表の記者会見。

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2014年8月13日のニュース