【七夕賞】グランデスバル コース調教困難も独特水泳トレで活路

[ 2014年7月8日 05:30 ]

調教の成果を見せたいグランデスバル

 夏といえばプール。今週の福島メーン「第50回七夕賞」で“プール調教の星”グランデスバルが重賞初制覇を狙う。気難しいためコースで強い調教ができず、代わりにプールで調整。“流水プールトレ”も取り入れた効果でご機嫌も良く、持ち前の先行力と粘りに磨きがかかりそうだ。

【七夕賞】

 グランデスバルに調教の時計はない。馬場入りを嫌がったり途中で止まったりするクセ馬。4走前の常総Sからは時計になる調教を行えず、コースではキャンター程度。ではどうやって鍛えているのか…それがプールだ。独特の調整法も、もうすっかりモノにした。星野助手は「いい意味で変わらず来ていて雰囲気は凄くいい」と順調な調整過程に目を細める。

 美浦トレセンの直線プールは全長39・3メートル。水流は秒速0・5~1・4メートル程度で調節でき、水の流れを受けながら泳ぐ。もちろん流速が速くなるほど負荷がかかり、心肺機能を高めるなどの効果が見込める。グランデは1週前追い切りに当たる2日にはAコースを2周してからプールへ。流速1・4メートルで4本、1・2メートルで1本泳いだ。

 だが、それで終わりではない。仕上げの“逆走”が特徴的だ。水の流れに逆らうのではなく流れに身を任せてプールを逆戻りする。いわば「流れるプール」状態で、これが馬にとっても気持ちがいいらしい。

 現在、美浦でこの逆走を採用しているのはグランデ1頭だけ。プールの担当者は「筋肉がほぐれてリラックス効果があるだけでなく、馬がプール調教を好きになることも期待できる」と説明する。最後にご褒美が待っていると頑張れるという理屈。星野助手は「苦しいまま調教を終わらせるのではなく、最後は気持ちよく終わらせてあげたい。実際に馬の気持ちも楽になっていると思う」と効果を実感している。

 重賞初挑戦の前走・目黒記念は9着。久々に馬券圏外に敗れたが、一気の相手強化にも直線半ばまで先頭に立って見せ場をつくった。星野助手は「福島ではまくって勝っているし、どんな競馬でもできる」と手応えをにじませる。昨秋に引退したネコパンチから厩舎の看板馬の座とともに個性派のキャラもしっかりと受け継いだグランデスバル。夏負け知らずのプール調教、その成果を見せる時が来た。

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