【安田記念】ジャスタウェイ 世界の脚でV!凱旋門参戦も表明

[ 2014年6月9日 05:30 ]

これが世界を獲った剛脚だ!!グランプリボス(左)との壮絶な叩き合いの末、ジャスタウェイが安田記念を制した

 春の最強マイル王決定戦「第64回安田記念」が8日、不良馬場の東京競馬場で行われた。“世界No・1ホース”の1番人気ジャスタウェイが、先に抜け出したグランプリボスをゴール寸前で鼻差(約9センチ)でかわし、重賞4連勝で3度目のG1制覇を飾った。主戦・福永の騎乗停止で再コンビとなった柴田善はG1通算9勝目。レース後、須貝師は世界最高峰の凱旋門賞(10月5日、仏ロンシャン競馬場、芝2400メートル)の参戦プランを表明した。

【レース結果】

 全身泥んこで飛び込んだゴール板。ジャスタウェイの馬上で、30年目の柴田善も確信を持てずにいた。「届いたとは感じたけど…。ゴーグルが汚れ過ぎ、はっきりとは分からなくて」

 最終4角で馬群の中の12番手。馬場の良い外に出したくても、外は馬群の壁。やむなく内に切り替え、魂の左ムチで追いまくった。先に抜け出したグランプリボスを、最後の最後で捉えた。わずか9センチの鼻差。絶体絶命の大ピンチから世界の鬼脚が火を噴いた。

 柴田善&須貝師は、競馬学校騎手課程1期の同期。「同期で、G1を獲りたいね…」。騎乗停止中の福永に代わるピンチヒッターのオファーに巧腕で応じた。昨秋毎日王冠2着以来の騎乗となった柴田善は「体力はもともとあった。パドックでも以前より落ち着いていたし、精神的な部分の成長が凄い。道悪に何度も脚を取られ、普通なら諦めるようなところから、馬が最後まで抜かそう…と諦めなかった。偉い馬です。本当に偉い。世界一の馬に悪い成績を付けず、ホッとしてます」と精神力を称えた。

 昨秋天皇賞、前走・ドバイデューティフリーに続くG1機会3連勝。悪馬場をはねのけ、1番人気の重圧から解放された須貝師は胸を撫で下ろし、笑顔を見せた。「(検量室の)着順掲示板を見て、初めて勝ったんだ、と。ゴールの瞬間は分からなかった。ホッとしました。ドバイであれだけのパフォーマンスをした馬。安田記念を選んだ以上は負けるわけにいかなかった」

 IFHA(国際競馬統括機関連盟)のワールドホースランキングで現役1位のレーティング130ポンド。諸外国から“レース招待”の熱烈オファーを断り、国内にこだわった。雄姿を日本ファンに見せたい。指揮官の思いに、愛馬も力走で応えた。

 レース後、愛馬を丹念にチェックした須貝師は今後の指針を明かした。現在ファン投票4位の宝塚記念の出否は保留した。「タフな馬場でこれだけ走ったことで、ドバイの時よりレース後の息の入りが悪かった。宝塚はしばらく様子を見て決めたい」と説明。その上で、凱旋門賞挑戦の野望を明かした。「これだけタフな馬場で結果を出せた。凱旋門賞を頭に入れたい。宝塚記念の2200メートルが“物差し”にもなる」と師は目を輝かせた。異国でも道悪でも、どんな条件下でも走る。これこそが世界No・1ホース。無敵ジャスタの夢は膨らむ一方だ。

 ◆ジャスタウェイ 父ハーツクライ 母シビル(母の父ワイルドアゲイン)牡5歳 栗東・須貝厩舎所属 馬主・大和屋暁氏 生産者・北海道浦河町社台コーポレーション白老ファーム 戦績19戦6勝(うち海外1戦1勝) 総獲得賞金7億7831万7000円。

続きを表示

この記事のフォト

2014年6月9日のニュース