【日本ダービー】牝馬Vに10年以内の不思議な連鎖性

[ 2014年5月28日 05:30 ]

藤井正弘「戴冠への血脈」

 日本ダービーの“父娘”制覇は空前にして恐らく絶後の血統的な快挙となる…。タニノギムレット産駒のウオッカが優勝した2007年のダービー直後、かなりの確信とともに、こんな記事を書いた覚えがある。

 当時は正直なところ、ダービー馬の娘に限らず「牝馬のダービー制覇」でさえ、生きているうちに遭遇できないであろうと考えていた。ところが、早くもその7年後に再び、牝馬がダービーの主役候補に浮上してくることとなった。前年の2歳女王にして桜花賞2着馬。くしくもウオッカと酷似した戦歴を持つレッドリヴェールである。

 ちなみに英国では1916年のフィフィネラ以来、もう100年近く牝のダービー馬は現れていない。米国のケンタッキーダービーでは1988年のウィニングカラーズが最後。日本のウオッカもまた、1943年のクリフジから64年のブランクがあった。先例からすると、今回のレッドリヴェールは少々フライング気味に映るのだが、実は必ずしもそうとは言い切れない面もある。

 日本競馬史上初めての牝のダービー馬は1937年のヒサトモ。2頭目のクリフジまでの間隔は、わずかに6年だった。前記ウィニングカラーズが現れたのは、65年ぶりの牝馬によるケンタッキーダービー制覇となった1980年のジェニュインリスクの8年後。牝の英ダービー馬にしても、フィフィネラの前は1912年のタガリー、その前は1908年のシニョリネッタと、4年周期で3頭が続出していた。洋の東西を問わず、牝馬のダービー優勝はめったに起きない一方、10年単位のスパンでは、ある種の連鎖性を帯びていたのである。

 レッドリヴェールの父ステイゴールドは、3年前の優勝馬オルフェーヴル、2年前の2着馬フェノーメノ以下、過去の出走産駒7頭中6頭までが掲示板を確保している。安定度では当代随一のダービーサイヤーと言っていいだろう。もちろん、距離延長に全く不安はない。“史上4頭目”の快挙達成の可能性は十分にある。 (サラブレッド血統センター)

続きを表示

2014年5月28日のニュース