【日本ダービー】ワンアンドオンリー 橋口師「勝って泣きたい」

[ 2014年5月27日 05:30 ]

ワンアンドオンリーで悲願を果たしたい橋口師

 今年もダービーの季節がやって来た。そのダービーVへ執念を燃やすのが橋口弘次郎調教師(68)。96年、1番人気に支持されながら、まさかの惜敗を喫したダンスインザダークを筆頭に2着4回。18回、通算20頭目の挑戦となるワンアンドオンリーにホースマン人生の全精力を注いで送り出す構え。あと5日後に迫った大一番へ、その胸の内に迫った。

【日本ダービー】

 ――今年が通算18回目、ワンアンドオンリーが実に20頭目のダービー挑戦となる。

 「最初に使ったのが90年のツルマルミマタオー。今年もホースマンとして最高の舞台に立てることをうれしく思います。しかも自分の庭で育てたハーツクライの子供で。調教師としてこんなに幸せなことはない」

 ――ダービーは96年のダンスインザダークなど、2着が4回ある。

 「ダンスの時は勝てると信じていた。どんな勝ち方をするだろうか…とだけ考えて見ていた。それがまさか!!という感じ。頭の中が真っ白になったよ。ダンスは今でも手掛けた馬の中で最高の馬だと思っている。あらゆる面で豪快だった。あれから、そのうちそのうちと思いながら、ついにここまで来た。ダービーに執念を燃やしてきた分、思い入れは強い」

 ――今年送り出すワンアンドオンリーは当初あまり期待されていなかったと聞くが。

 「デビューが夏の小倉。10番人気で12着。調教も動かず、気性もかなり悪かったからね。ケガだけしなければいいと思っていたよ。2戦目はさらに評価を下げて13番人気だったかな。それで2着に来た。複勝が4090円もついたぐらいだから(笑い)」

 ――具体的にダービーを意識された瞬間は?

 「未勝利戦(9月29日、阪神芝1600メートル)をスカッと抜けた時にちらっと、“ダービー”が頭をかすめたけど、いやいや、さすがに大きな期待はしてなかったよ」

 ――初重賞となったラジオNIKKEI杯が7番人気を覆す勝利。

 「ゴールした瞬間に思ったのは“ヨシ、これでまた来年ダービーに行けるぞ”と。重賞を勝ったことで、ダービーから逆算したローテーションを組むことができる。これが大きかった」

 ――1冠目の皐月賞は4着。最後の追い上げは目を引くものがあった。

 「内枠もあったからね。最後方に下げ、3コーナーから仕掛けてゴールまで全く末脚は衰えてなかった。負けてしまったが、ダービーが楽しみになった」

 ――最後に意気込みを。

 「ダービーが手を伸ばせば届きそうなところにある。ここまで来たらジャンプしてでもつかみたいと思うが、手足が短いからな(笑い)。ここで勝ったら最高のドラマだよ。たぶん、泣かないと思うが泣くかな?いや、勝ったら、泣きたいと思う」

 ◆橋口 弘次郎(はしぐち・こうじろう)1945年(昭20)10月5日、宮崎県出身。68歳。80年調教師免許取得、82年3月開業。JRA通算937勝、重賞89勝。G1勝利は92年天皇賞・秋(レッツゴーターキン)、96年菊花賞(ダンスインザダーク)、05年有馬記念(ハーツクライ)、10年ジャパンカップ(ローズキングダム)など9勝。 

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