【オークス】樫女王はヌーヴォレコルト!直線突き抜けハープ負かした

[ 2014年5月26日 05:30 ]

大外から伸びるハープスター(左)の猛追を振り切り、オークスを制した岩田騎乗のヌーヴォレコルト。桜花賞3着のリベンジを見事に果たした

 牝馬クラシック第2弾「第75回オークス」が25日、東京競馬場で行われた。中団を進んだ2番人気ヌーヴォレコルトが直線、鋭く伸び大外強襲のハープスターを首差しのいでV。重賞初Vが、悲願のG1初制覇となった。殊勲の岩田康誠騎手(40)は史上7人目(現役3人目)の5大クラシック完全制覇を達成。管理する斎藤誠師(43)は07年朝日杯FS(ゴスホークケン)以来、2度目のG1制覇を飾った。

【レース結果】

 ヌーヴォレコルトの精神力、岩田の気迫が大仕事に結実した。鞍上に迷いはなかった。好スタート、迷わず中団インへ。周囲に馬がいない絶好のポジションで息を潜め、残り1F。後ろにいた1番人気ハープスターを気にせず追いまくった。猛追したハープを首差退けた所がゴール板。ハープと3度目の対戦。まさに“3度目の正直”を実らせた。

 「正攻法で負けたら仕方ないと…。道中もうまく折り合えたし、必死にゴールまで追った。落ち着いて、我慢強い馬です。いい脚が長く使える。ハープのことは考えず、自分の競馬をしようと思っていた」

 史上7人目の5大クラシック制覇の偉業を成し遂げたのに、ヒーローはガッツポーズを封印した。真剣に報道陣に向き合った。「クラシック完全制覇?それより、4週前に後藤さん(浩輝騎手)に落馬させ、ふがいなさを感じていました。一日も早く良くなって、復帰していただきたいと思います」と本音を吐露した。

 鞍上の鬼気迫る闘志に、斎藤師は何も言わずに託した。ただ、ひと言。パドックで「勝てるレースを」とバトンを委ねた。桜花賞3着後は鍛え抜いた。1週前には古馬顔負けの猛烈追いを敢行。愛馬もそれに応えた。指揮官は「重賞を使うときはいつもドキドキするのに、不思議と平常心で挑めた。全てがうまくいった。長めを丹念に、でも軽くはしない。本当に精神力が凄い子です」と感心した。

 師にとっては、07年朝日杯FS(ゴスホークケン)以来のG1・2勝目。「あのときは開業2年目で、どさぐさ紛れで勝ってしまった感じ…。今回はみなさんの応援で勝ち獲れた」と、ひと味違う喜びを感じていた。

 岩田は東京3RでJRA1112勝を挙げ、安藤勝己元騎手が持つ地方競馬出身の記録を更新。オークスで1勝積み上げたが「安藤さんは偉大。自分はまだ劣っている。さらに気持ちを高め、頑張りたい」と前を見れば、斎藤師も「次は全く考えてなかった。ここが全力だったので…。まず無事を確認して、この子は成長力があるので、ここで終わらせたくはない」と真顔で結んだ。必ず来るハープとの再戦を見据え、初夏の日差しに羽ばたいたヌーヴォをさらに磨いていく。

 ◆ヌーヴォレコルト 父ハーツクライ 母オメガスピリット(母の父スピニングワールド)牝3歳 美浦・斎藤厩舎所属 馬主・原禮子 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績6戦3勝 総獲得賞金1億8111万4000円。

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