二審も「外れ馬券は経費」検察主張退ける、大阪高裁

[ 2014年5月9日 15:31 ]

 インターネットで大量に購入した馬券の払戻金を申告せず、所得税約5億7千万円を脱税したとして、所得税法違反(単純無申告)の罪に問われた大阪市の元会社員(40)の控訴審判決で、大阪高裁は9日、外れ馬券を経費と認めた一審大阪地裁判決を支持、検察側の控訴を棄却した。

 米山正明裁判長は、外れ馬券を含む馬券の全購入費が、所得から控除できる必要経費と認められると判断。申告すべき課税額を約5200万円と大幅に減額し、懲役2月、執行猶予2年(求刑懲役1年)とした昨年5月の一審判決を支持した。

 元会社員は競馬予想ソフトを使い、ネットで長期間にわたり大量の馬券を購入。2007~09年、28億7千万円分の馬券を買い、このうち、約1億3千万円の当たり馬券で、30億1千万円の払戻金を得ていた。

 40年以上前の国税庁の通達は、競馬の所得を「一時所得」に分類。検察側は通達に基づき「所得は、当たり馬券だけを差し引いた28億8千万円」と主張していた。

 判決は「通達が出た当時、被告のような購入方法は想定されていなかった。払戻金を画一的に一時所得とすることは実態に即さない」と指摘。通常の購入方法は「一時所得」に当たるが、被告のように、営利目的で継続性が認められる場合は、外れ馬券分も経費に算入できる「雑所得」に相当すると判断した。

 弁護側は「上告を断念し、高裁判決を確定してもらいたい」とし、検察側は上告するかどうかを検討する。

 競馬の払戻金の課税をめぐっては、北海道でも札幌国税局が、外れ馬券の購入費を経費として認めず、4億円以上の申告漏れを指摘している。

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2014年5月9日のニュース