ブリーズアップセール 名伯楽・池江氏がステイっ子落札、馬主第一歩

[ 2014年4月30日 05:30 ]

池江氏が3240万円で購入したモントレゾールの12

 サラブレッド2歳馬の調教セリ市「2014JRAブリーズアップセール」が29日、中山競馬場で開催され、昨年7月に馬主登録を行った元JRA調教師の池江泰郎氏(73=スポニチ本紙評論家)が調教師時代に自ら育てたステイゴールドの牡馬産駒「モントレゾールの12」を3240万円(税込み)で落札した。11年の引退までにディープインパクトなどでG1・21勝(地方、海外含む)を挙げた名伯楽。その相馬眼にかなった最初の所有馬は6月にもデビューする。

 自ら育てたステイゴールドから受け継がれたすさまじい闘争心と柔軟な走り。大物の相を見抜いた名伯楽に迷いはなかった。セリ会場に登壇した上場番号38番「モントレゾールの12」をめぐる猛烈な競り合い。京都馬主協会の指定座席に腰を下ろした池江氏は有力バイヤーを相手に畳み掛けるように競り値を上げる。台付け価格(最低希望価格)700万円からスタートしたセリはたちまち2500万円を突破。「3000万円!!」。間髪入れず応酬する名伯楽の気迫に有力バイヤーが根負けすると、落札を告げるハンマー音が響いた。

 「ご購買者番号602番、滋賀県・池江泰郎様」。鑑定人のアナウンスに驚きの声が上がる会場から引き揚げてきた同氏は、照れくさそうな顔で「新米馬主です。よろしく」と報道陣にあいさつした。この日3位タイとなる高額購入に「予算は2500万円だったが…。自分へのご褒美で買うつもりだったが父親(ステイゴールド)の魅力に全財産を投げ出してしまった」と周囲を笑わせた。

 調教師時代、有力馬主に帯同してセリ市は何度も経験したが馬主としては初参加。池江氏はセリ前日(25日)、中山競馬場を訪れ、出場馬の馬房を回った。父ステイゴールドより一回り大きい450キロ台の芦毛。一目で心を奪われた。「馬選びはまず体のバランスと脚元の丈夫さ。次に歩様と気性。それから血統。馬を購入するための正しい教科書なんて存在しないが私は長年そうやって選んできた」(同氏)

 セリに先立って実施された騎乗供覧では激しく首を振り、荒ぶる闘志を全身から発散させてダートコース入り。直線で軽く仕掛けられるとバネの利いたフットワークを伸ばしてラスト2F23秒6(12秒0~11秒6)の2番時計。「カン性がきつくて負けず嫌い。動きには柔軟性と素軽さがある。父の持ち味をしっかり受け継いでいる」。池江氏のお眼鏡にかなった「モントレゾールの12」は3月に開業した栗東・高橋康之厩舎へ今週中に入厩する。「息子(池江泰寿師)の厩舎は既にいっぱい。私の初の所有馬は私の最後の弟子に託したい」。名伯楽が馬主として第一歩を刻んだ。

 ▼今年の「ブリーズアップセール」は祝日の開催とあって対前年比144%となる239人の馬主が来場。総売り上げも同113%の7億6370万円と大盛況だった。71頭(牡34頭、牝37頭)の上場馬は全て売却され、平均価格は牡馬1236万円(昨年976万円)、牝馬927万円(同806万円)に上った。

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