【天皇賞・春】ウインバリアシオン オルフェの呪縛解け悲願G1Vへ

[ 2014年4月30日 05:30 ]

屈腱炎を克服し悲願のG1制覇へ向かうウインバリアシオン

 例年以上に好メンバーが集結した今年の天皇賞・春(5月4日、京都)。話題はキズナとゴールドシップの初対決ばかりではない。屈腱炎を克服し悲願のG1タイトルを狙うのがウインバリアシオンだ。昨年限りで引退したG1・6勝馬オルフェーヴルに挑み続け、G1で3度の2着に敗れた悲運の銀メダルコレクター。宿敵がターフを去った今、のし上がってきた後輩馬に実力を見せつける時が訪れた。

【天皇賞・春】

 雌伏の時を経て、最大のチャンスが巡ってきた。G1で3度の2着(11年ダービー、菊花賞、13年有馬記念)に泣いたウインバリアシオン。全力を尽くしたゴールの先には、いつもオルフェーヴルの姿があった。「本当に強い相手だった」。松永昌師は最高のライバルに敬意を表しながら、こうつぶやいた。「ずっと2着に食らいついていただけのことはある。強い馬と戦って、この馬もようやく完成されてきたんだ」

 宿敵オルフェが現役を引退し、初めて迎えたレースが前哨戦の日経賞。3角から馬群の大外を一気にまくって楽々と突き放した。「今までにない勝ち方」と指揮官。まるでオルフェが乗り移ったかのような勝ちっぷりはバリアシオン時代の到来を告げるのに十分な内容だった。

 苦難の道のりだった。競走馬としてピークを迎えるはずの4歳秋に左前浅屈腱炎を発症。1年5カ月もの休養を余儀なくされた。実戦復帰は昨年11月の金鯱賞。「とにかく無事に回ってきてほしい」。祈るような気持ちで送り出した再出発の一戦で見せ場十分の3着。期待をはるかに超える激走だった。調教を担当する中山助手は「金鯱賞は恐る恐るという感じだったが結果を出してくれた。有馬記念も100%ではない中で2着。前走も本番を見据えての仕上げ。復帰してから今回が一番いい状態で臨める」と期待する。

 天皇賞・春は2年前に3着。7度の対戦で唯一、オルフェーヴル(12着)に先着した舞台だ。「1度経験しているのは大きい」と師。休んでいる間に、一緒にクラシックを戦ったサダムパテック、トーセンラー、ベルシャザールが次々とG1タイトルを手にした。「1年以上も休んで、G1に戻ってこられる馬はなかなかいない。何とか1つ、大きいところを獲らせたいという思いはある」と、この一戦に懸ける思いは強い。

 岩田が騎乗停止となり、鞍上の第1候補はシュタルケ。だが、補欠1番手のバンデに先約があり、繰り上がり出走の場合は武幸と流動的な状況だ。「馬のことを分かっていた岩田が乗れないのは痛い。でも、それもこの馬に課せられた運命。乗り越えてくれると信じている」と中山助手。今度こそ、先頭でゴールを駆け抜ける。

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2014年4月30日のニュース