【ニエル賞】キズナ 英ダービー馬競り落とし海外デビュー飾る

[ 2013年9月16日 06:00 ]

ニエル賞で優勝した武豊騎乗のキズナ(8)

 日本ダービー馬は、やっぱり強かった。遅めのスタートから道中後方2番手を追走したキズナ。重馬場への適性が心配されたが、ロンシャンの絡みつくような芝にしっかりフィットした。直線を向き、残り300メートルで追い出すと外から伸びた。ジワジワと地元勢をかわす。あと100メートル。ついに先頭だ。直線半ばで前がふさがり、外に立て直したルーラーオブザワールドが追い込む。並んだか。そこがゴール。写真判定。ボードに「8」が浮かんだ。キズナが勝った。

 「ゴールの瞬間、勝ったと思った。だが(ルーラーオブザワールド騎乗の)ライアン(ムーア)が勝ったと言うので、負けたと思って戻ったら、みんなが“ブラボー”って」。武豊は笑顔で振り返った。ルーラーオブザワールドだけでなく、パリ大賞を快勝したフリントシャーもいたハイレベルな一戦。場内発売は7・8倍の4番人気に甘んじた。それが、この勝負強さだ。ひと叩きされ、100%の体調で臨む本番では、どんな決め手を繰り出すのか。期待が一気に膨らんだ。

 武豊は楽しげに語った。「キズナのスタイルを崩さぬよう、あの位置で。初めての場所にしては上手に走った。若干、重さを感じていたので気持ち早めに追い出した。手応えもあったのでフリントシャーの動きを見る余裕もあったよ」。さあ、夢の凱旋門賞へ。「ロンシャンの適性に答えが出たね。さらに楽しみになった。期待してください」。日本が誇るダービー馬が、世界制覇に王手を懸けた。

 ◆キズナ 父ディープインパクト 母キャットクイル(母の父ストームキャット)牡3歳 栗東・佐々木厩舎所属 馬主・前田晋二氏 生産者・北海道新冠町ノースヒルズ 戦績8戦6勝(うち海外1戦1勝) 総獲得賞金3億6218万1000円。

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