M・デムーロ 仏での騎乗を捨て猛勉強「日本の騎手になりたい」

[ 2013年9月6日 06:00 ]

栗東で思いを語るM・デムーロ

 日本の騎手になりたい--。14年度のJRA騎手免許試験の受験をスポニチ本紙に表明済みのミルコ・デムーロ騎手(34=イタリア)が5日、滋賀県栗東トレセン事務所に現れ、取材に応じた。初めて外国人受験規定が明文化された試験の“一発突破”に向け、既に猛勉強を開始している。まずは10月2日の1次試験(競馬学校=千葉県白井市)にアタックする。

 ポロシャツ、そしてジーンズというラフな格好が、いつもと違う立場での来日であることを示していた。“受験生”ミルコ・デムーロは、あふれる思いを抑えきれないように、熱っぽく語った。「(今年の本拠地とした)フランスで騎乗を続けるより、早く日本に来て勉強に専念したかった。日本語を覚えるにしてもフランスにいるより、日本語が飛び交うところで覚えた方が早いから」

 1日にドイツのG1バーデン大賞(バーデンバーデン)で騎乗後、そのままフランクフルト空港から出国。栗東トレセン近くの滞在先で、腰を据えて勉強に取り組み始めた。1次試験は10月2日だが、約1カ月前に来日したのはデムーロの決意の表れ。レース騎乗という、生活上、最も重要な収入源を断ってでも、試験勉強に集中したかった。

 とはいえ、15歳で競馬の世界に飛び込み、34歳の現在まで勝負の世界に身を置き続けてきた。ムチをペンに持ち替えるのは簡単ではない。「とても難しい。努力はしているがペンを持つのも変な感じ」。1次試験の学力筆記は英語での受験が可能となったが、だから即合格ということはない。机に向かい、一日中、専門書、難解な用語と格闘中だ。

 「僕は13年続けて日本に来ている。日本を第二のふるさとだと思っているし、こうして受験できることに感謝している。日本の競馬のシステムは素晴らしい。何としてもジャパニーズ・ジョッキーになりたい」

 東日本大震災直後のドバイワールドC(11年3月26日)をヴィクトワールピサで制し、気持ちが沈んだ人々を勇気づけた。昨年の天皇賞・秋(エイシンフラッシュ)では優勝後、スタンドの天皇・皇后両陛下に向けてひざまずき、最敬礼をして感動を呼んだ。最近の日本競馬の重要なポイントには、いつもデムーロがいた。1次、2次試験(来年1月27~29日)を経て、合格発表は2月6日。夢かなえば3月から通年騎乗が可能となる。猛勉強も、いよいよラストスパートを迎える。

 ◆ミルコ・デムーロ 1979年1月11日、イタリア生まれの34歳。94年騎手免許取得。翌年、見習騎手リーディング。97~00年イタリア騎手リーディング。99年短期免許で初来日。01年小倉大賞典(ミスズシャルダン)でJRA重賞初勝利。03年皐月賞をネオユニヴァースで勝ち、G1初制覇。同年ダービーも優勝。今年は皐月賞をロゴタイプでV。JRA通算2178戦330勝(重賞28勝)。父ジョワンニバティスタは元騎手、姉パメラは調教師、弟クリスチャンも騎手という競馬一家。1メートル58、52キロ。血液型A。

続きを表示

2013年9月6日のニュース