キズナ 自己新の仰天時計50秒5!佐々木師「一段と凄くなった」

[ 2013年8月22日 06:00 ]

キズナは武豊を背に猛時計を叩き出す

 最高の形でデモンストレーションを終えた。フランス遠征を控えたダービー馬キズナ(牡3=佐々木)が21日、栗東トレセンで国内最終追い切りを行い、武豊(44)を背に4F50秒5をマーク。この日の栗東2番時計となる、自己新の仰天タイムを叩き出した。同馬は24日に検疫入りし、前哨戦ニエル賞(9月15日、ロンシャン)に挑む。既に検疫入りしたオルフェーヴル(牡5=池江)も坂路で4F52秒8と順調。こちらは24日に出国してフォワ賞(同)へ。大目標の凱旋門賞(10月6日、同)は、もう目の前だ。

 キズナは大幅なパワーアップを果たしていた。武豊には、そのことがよく分かっていた。

 CWコースを軽く流してから坂路へ。2週続けてアップトゥデイト(3歳1600万)がパートナーだが、武豊は4馬身も後方から追走した。併入した先週が2馬身半だから、さらにスタート地点を後ろに設定したことになる。そして、キズナはその期待にしっかり応えた。

 前半はリズムを合わせるように慎重に。残り2Fを切ったところで軽くゴーサインを出した。ダービー馬の四肢が回転を増す。残り1Fで追いだすとギアは一気にトップへ。全身を沈ませて僚馬を捉えると、一瞬で後方へと投げ捨てた。貫禄の2馬身先着。4F50秒5~1F12秒3。14日に出した4F52秒3を大きく上回る自己ベスト。ロンド(50秒2)に次ぐ、この日の栗東延べ841頭の2番時計。数字がモニターに映し出されると、記者席からどよめきが起こった。

 佐々木師も、この動きには驚きを隠せない。「52秒くらいだろうと思っていた。(上がり2Fのラップが)12秒1~12秒3か。素晴らしい。また一段と凄くなった」。一語一語、かみしめるように語った。

 追い切りを終えた武豊を取材陣が取り囲む。一挙手一投足を追いかけるテレビカメラは何と7社10台。「周囲の目や環境は(ダービー前と)大きく変わった」。メディアに目をやった鞍上。凱旋門賞が迫っているという、緊張感を帯び始めた空気を胸に吸い込み、こう続けた。

 「凱旋門賞の前に、まずは前哨戦のニエル賞。ここには凱旋門賞でも本命になりそうなパリ大賞の勝ち馬(フリントシャー)がいる。VTRを見たが楽勝だった。あの馬は強い」

 ただ、白旗を揚げて言っているのではない。強敵との戦いがいよいよ始まると、わくわくしているのだ。今はまだ伏兵の一頭にすぎないキズナ。だが見ていろ。前哨戦が終われば、主役級の一頭になっているはずだ。

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2013年8月22日のニュース