【凱旋門賞】日米の絆がキズナを援護 バリー師「ワクワクしている」

[ 2013年8月6日 06:00 ]

凱旋門賞制覇が期待されるキズナ

 キズナよ、待っているぞ!凱旋門賞(10月6日、フランス・ロンシャン)に挑戦するキズナ(牡3=佐々木)を現地で受け入れると目されているパスカル・バリー師(60=フランス)がスポニチ本紙の独占取材に答えた。10年にはヴィクトワールピサに馬房を用意し、日本のホースマンとも親交が深い。「ワクワクしている」とダービー馬の到着を待ちわびている。

 「まだ少し詰めなくてはいけない点もあるが、恐らくうちの厩舎で受け入れることになるだろう」。仏北西部、ドーヴィル競馬場。爽やかな避暑地の風を浴びながら、仏を代表する名トレーナー、バリー師は語った。「7月の中旬にスタッフが下見に来た。何カ所かの厩舎を回ったようだが、うちの厩舎に好感触を得てくれたようだ」

 10年凱旋門賞に出走(7着)したヴィクトワールピサも入厩した同厩舎は、仏最大の調教施設を誇るシャンティイのエーグル調教場に面している。同調教場は総面積220ヘクタール。シャンティイでも最も大きな調教場だ。芝、ダートの他にダートと人工素材をミックスした走路など、さまざまなコースを有し、その周辺を広大な森が囲んでいる。その広さは、何年もシャンティイでの調教騎乗経験がある武豊をして「いまだに1人で入ったら迷ってしまいそうになる」と言わしめるほどだ。

 バリー厩舎の他にも、仏のトップ、アンドレ・ファーブル厩舎や最大手のオーナーであるアガ・カーン殿下など、多くの調教師や馬主がエーグル調教場を中心に調教している。今が伸び盛りのキズナ。壮大なスケールを誇る調教施設によって、さらにパワーアップを果たすことが期待される。

 仏ダービー5勝を誇る偉大な調教師の目にも、キズナのチャレンジには心が躍ると言う。「テルヤ・ヨシダ(吉田照哉・社台ファーム代表)や、カズ・フジサワ(藤沢和雄師)など、私も多くの日本人ホースマンを知っており、日本馬のレベルの高さは十分に分かっている。その日本からダービーを勝った馬が来るのだから、今からワクワクしている。複数の馬房を用意するつもりでいるし、できる限りのサポートをしたい」。バリー師は笑顔で語った。

 ◆パスカル・バリー 1953年4月4日、フランス生まれの60歳。英国で修業後、仏に戻ってブータン厩舎へ。81年調教師免許取得。95年ブータン師の死去後、ギリシャの船舶王であり、欧州屈指の大馬主であるニアルコス家の所有馬を預かるようになる。セルティックアームズ、ラグマー、ドリームウェル、スラマニ、ブルーカナリで仏ダービー5勝。グロリアデカンペオンで10年ドバイワールドCを優勝。今春は飯田祐史技術調教師(38)の研修を受け入れた。

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