【アイビスSD】ハクサンムーン“Mr.新潟”酒井が駆け抜けた!

[ 2013年7月29日 06:00 ]

レースを制したハクサンムーン鞍上の酒井はガッツポーズ

 直線1000メートルで争われる夏の名物重賞「第13回アイビスサマーダッシュ」が新潟競馬場で行われ、新潟市出身の酒井学(33)が騎乗したハクサンムーンが外ラチ沿いを駆け抜けてV。昨年京阪杯に続く重賞2勝目でサマースプリントシリーズトップに立った。2着は柏崎市出身の村田一誠(34)騎乗のフォーエバーマークで、新潟出身コンビの1、2着。

【レース結果】

 名物重賞は最初から最後まで“新潟男”2人のマッチレース。外の酒井・ハクサンムーンが内の村田・フォーエバーマークをゴール前で競り落とした。新潟市出身の酒井は01年カブトヤマ記念(タフネススター)以来の新潟競馬場での重賞V。ウイナーズサークルでは次々と「まなぶ~!」の声援を浴びた。「知人ではないけど、地元出身だからそう呼んでくれるのでしょう。“酒井騎手”と言われるよりうれしいですね」と目尻を下げた。

 「ハナという意識はなかった」と言うが、スピードの違いで外ラチ沿いへ。その後は内から徐々に外へ持ち出したフォーエバーマークとの併走が続いた。「“あっ、村田さんや”と思いましたね」。同郷の先輩は直線競馬の名人。対する酒井はアイビスSD初騎乗だったが、馬の力を信じて落ち着いて騎乗した。

 昨年のアイビスSD(石橋騎乗)はテン(序盤)からビュンビュン飛ばしたが、ラストで失速して4着。いくら1000メートルといえども、最初から全力で走り切ることはできない。残り400メートル、200メートルで反応を確認した。「手応えがあったので、ゆっくり追い出した」。冷静にラストの伸びを引き出した騎乗を、西園師は「100点満点」と手放しで褒めた。

 レース前には馬場入りを嫌がりファンをやきもきさせたが、終わってみれば完勝。酒井は「乗っているこちらがビックリするくらい強い勝ち方。短距離のスペシャリストという走りを見せてくれた」と愛馬を称えた。4歳夏を迎えた近2走の馬体重480キロはデビュー時から32キロも増えている。西園師は「子供が大人になった」と目を細め、酒井は「途中で息を入れて、もうひと伸びできるようになった。メンタル面が成長している」と証言した。

 これでサマースプリントシリーズは15ポイントとなり、首位に浮上。今後はセントウルS(9月8日、阪神)→スプリンターズS(9月29日、中山)を予定している。スプリント王の称号を手に、堂々とG1に挑む青写真。心身共に充実期を迎えた快速馬が、スプリント戦線の主役に躍り出る。

 ◆ハクサンムーン 父アドマイヤムーン 母チリエージェ(母の父サクラバクシンオー)牡4歳 栗東・西園厩舎所属 馬主・河崎五市氏 生産者・北海道日高町白井牧場 戦績16戦6勝 総獲得賞金1億7093万3000円。

 ◆酒井 学(さかい・まなぶ)1980年(昭55)2月4日、新潟市生まれの33歳。父は02年に廃止された公営新潟競馬の厩務員、兄・忍は川崎競馬(元は新潟競馬)の騎手という競馬一家に育つ。98年3月デビュー。同年3月8日中京12Rマチカネヒガノボルで初勝利。01年カブトヤマ記念(タフネススター)で重賞初V。昨年のジャパンCダートをニホンピロアワーズで制しG1初V。通算4197戦199勝。重賞8勝。

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