4127勝の菅原勲元騎手 暴行容疑で逮捕、飲食店で知人殴る

[ 2013年7月24日 06:00 ]

地方競馬所属初の中央GIレースを制した菅原勲容疑者

 岩手県警水沢署は23日、飲食店で知人男性を殴るなどしたとして、岩手県競馬組合所属の調教師・菅原勲容疑者(49)=同県北上市=を現行犯逮捕した。同容疑者は、地方競馬で4000勝以上を挙げた元騎手で、99年には中央競馬のG1レースで勝利を挙げるなど、地元ではカリスマ的存在。捜査関係者は「あの有名人が、いったいなぜ?」と驚きを隠せなかった。

 逮捕容疑は23日午前0時20分ごろ、同県奥州市の飲食店内で知人男性(51)を殴ったり、髪を引っ張ったりするなどの暴行を加えた疑い。容疑を認めている。

 水沢署によると、殴られた男性は地元で自営業を営んでいる。競馬関係の職業ではないが、菅原容疑者とは顔見知りだった。ただ交友はなかったという。

 男性はこの日夜、別の知人夫婦と3人で飲食店を訪れ、仕切りのあるボックス席に着いた。菅原容疑者は、少し後に1人で入店し、カウンター席に着いた。

 入店から約1時間ほどして、菅原容疑者は用を足すため席を立ち、ボックス席の横を通った。男性は存在に気づき、あいさつのつもりで声を掛けたところ、菅原容疑者が立腹。突然、殴りかかってきたという。

 声掛けの内容は「挑発的、侮辱的なものではなかった」と同署。また、菅原容疑者は当時、酒に酔っていたが「検出されたのは酒気帯び運転程度のアルコール。心神喪失ではなかった」という。

 同署は「あいさつされて殴りかかるという行動は普通ではなく、もともとあまり良い関係ではなかったのでは」と話す。同署や競馬関係者によると、菅原容疑者が金銭などのトラブルを抱えていた形跡は確認されていない。同署は両者の関係や動機について調べる。

 菅原容疑者は81年デビュー。昨年の引退まで地方4127勝を挙げた。99年の中央競馬G1制覇は地方騎手では初の快挙だった。現在は調教師。同容疑者を知る関係者は「温厚な性格で暴力をふるうようには見えない」と証言。同署は「年齢を重ねた岩手の男なら、競馬をやらなくても名を知っているほどの存在。県民に夢をくれた人が、なぜこんなことを」と話している。

 岩手県競馬は27日から3日間、盛岡競馬場で行われる。県競馬組合は被害者の対応が判明するまで、菅原厩舎所属馬の出走を認めない方針。

 ◆菅原 勲(すがわら・いさお)1963年(昭38)7月25日、岩手県生まれの49歳。デビューした81年に13勝。91年には150勝で初の岩手競馬リーディングジョッキーに。主な騎乗馬はデビュー以来の連勝日本記録(当時)18を達成したトウケイニセイ、99年に勝利した中央競馬G1フェブラリーステークスでコンビを組んだメイセイオペラ。4000勝は2010年に達成。史上6人目の快挙だった。

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