【オークス】メイショウマンボ 桜大敗から逆襲女王!武幸男泣き

[ 2013年5月20日 06:00 ]

好位から力強く抜け出してオークスを制したメイショウマンボ(右)

 牝馬クラシック第2弾「オークス」が19日、東京競馬場で行われ、9番人気メイショウマンボが桜花賞10着から巻き返して優勝した。桜花賞2桁着順からのVは史上4頭目。武幸四郎騎手(34)は06年菊花賞(ソングオブウインド)以来、7年ぶりのG1勝利。つながりの深い「メイショウ」での勝利に涙があふれた。体調不良で自宅観戦だった飯田明弘師(66)は89年の厩舎開業以来、初G1制覇となった。

【レース結果】

 7年ぶりの美酒。メイショウマンボを樫(かし)の女王へと導いた武幸は、ウイニングランで何度も右手を突き上げ、6万大観衆の声援に応えた。「とにかくうれしい。G1は過去に3回勝たせてもらっているが、この勝利は格別だ」

 パドックでまたがった瞬間は、目の前が真っ暗になった。「危ないくらいイレ込んでいた。ゲート裏ではパニックに近い状態。大丈夫か…」。スタートこそ決めたが「凄い行きっぷり。抑えるのに苦労した」。向正面で何とか我慢させ直線へ。坂下で外に持ち出すと、マンボ自慢の“重蹄音”がさく裂した。残り300メートルで先頭に立つ。左ムチで鼓舞すると、エバーブロッサムの追い上げを1馬身1/4差振り切った。完勝だった。

 「作戦はいろいろ考えていたが全部吹き飛んだ。イレ込んでいる馬をどうするか、それだけ。直線は後ろを振り返らず必死に追った。抜群の反応だったが、僕の方が慌ててフォームがバラバラになってしまった」。大仕事を成し遂げ、充実の表情で振り返った武幸。だが、表彰式に向かう途中、松本好雄オーナー(75=産業機械メーカー・きしろ会長)に手を差し出されると涙があふれた。

 武幸とメイショウ軍団を率いる松本オーナーは切っても切れない関係。「父(武邦彦氏)の代からお世話になっていて、子供の頃はお年玉をもらっていた。騎手としてのデビュー戦も乗せてもらった(97年3月1日阪神1Rメイショウユリヒメ6着)。成績が悪い時も支え続けてくれた。最高の恩返しができた」。武幸は感慨深げに振り返った。

 桜花賞で10着に敗れた夜、武幸はオーナーの電話を鳴らした。「オークスに登録してほしい。僕を乗せていただけますか?」。2歳時に行うクラシック登録でオークスに登録しなかったマンボは、追加登録料200万円が必要。それでもオーナーは「分かった。次もよろしく頼む」とだけ伝えた。お立ち台では武幸の横に一人たたずむ松本オーナーの姿。「最近は乗り馬が少なくて心配していた。良かった。本当にうまく乗ってくれた」。ファン向けのインタビューが終わると大きな拍手を送り、武幸の肩を抱き寄せた。

 体調を崩し自宅観戦だった飯田明師とオーナーは電話で喜びを分かちあった。「途中からお互い涙声で…。何を言っているか分からなかった」。マンボの祖母メイショウアヤメで桜花賞に挑んだのは98年。7着に敗れたが「きっといい子を出す」と繁殖入りさせ、産駒に託した。「まさか孫の代で走ってくれるとは。こんなこともあるんだね」。2人が追い続けた15年越しの夢が結実した。

 今後は休養し秋に備える。マンボをめぐる人々の心温まるストーリーは、まだ序章にすぎない。

 ◆メイショウマンボ 父スズカマンボ 母メイショウモモカ(母の父グラスワンダー)牝3歳 栗東・飯田明厩舎所属 馬主・松本好雄氏 生産者・北海道浦河町高昭牧場 戦績7戦4勝 総獲得賞金2億392万3000円。

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