【NHKマイルC】フラムドグロワール 藤沢和流“秘策”で万全だ

[ 2013年5月3日 06:00 ]

フラムドグロワールは横山典を背に追い切る

 3歳マイル王決定戦「NHKマイルC」(5日、東京)の木曜追いが2日、美浦トレセンで行われた。現役最多1166勝(2日現在)の藤沢和雄師(61)が送り出すフラムドグロワールは余力たっぷりに1馬身先着。万全の態勢を整えた。さらに、通常の当日輸送を切り替え、金曜輸送の勝負手を打つ。同レースは、3日、枠順が確定する。

 横山典を背にWコースに現れたフラムドグロワール。シェーンメーア(3歳未勝利)を4馬身追走した。いっぱいに追われる僚馬に対し、インを突いて馬なり。5F68秒4~1F13秒0でまとめ、1馬身先着した。10着に沈んだ前走・京成杯から3カ月半ぶりだが、3月下旬から時計を出し、コディーノ(皐月賞3着)と併せるなど乗り込みは十分。藤沢和師は「動きは良かった」とご満悦。横山典も「状態は言うことない」と太鼓判を押した。

 1番人気を裏切った前走だが敗因は明確。1月14日のレースが雪の影響で21日に延期。絞りきれず8キロ増で臨まざるを得なかった。横山典は「息遣いがおかしかった。4角でも反応せず、進んでいかなかった」と振り返った。

 精神的ダメージは相当受けたはずだ。1度目の輸送(1月14日)で中山入りした時点で、気持ちをレースへと向けていたのに出走せず帰厩。「競馬場に行く=レース」と覚え込んでいる馬は戸惑いを感じたはずだ。その気持ちを引きずったまま、7日後に再び輸送。今回は走るの?走らないの?そんな不安の中、迎えたレース。これでは力を出し切れないのも責められない。

 狂った歯車を戻そうと今回、藤沢和師は前代未聞の決断を下した。金曜輸送だ。3日、18頭のトップを切って東京競馬場に入る。理由はおそらくこう。前々日の現地入りで馬に心の準備期間を与える。土曜輸送では「一緒に輸送した馬はレースに出たようだが自分はどうなるんだ」と悩む可能性がある。だから、あえて馬の少ない(いるのは土曜出走関西馬だけ)金曜に入れるのだ。馬のメンタル面を重要視する指揮官ならではの判断だろう。

 皐月賞をスキップして2戦2勝の東京に勝負を懸け、さらに金曜輸送の秘策を用意。陣営の熱い思いに、グロワールは最高の結果で応える。

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2013年5月3日のニュース