【天皇賞・春】フェノーメノ悲願のG1!同期ゴールド封じて戴冠

[ 2013年4月29日 06:00 ]

ゴールドシップ(右から3頭目)などを従えて4角で先頭に立とうとするフェノーメノ(中央左)

 「4強時代」の幕開けだ。「第147回天皇賞・春」が28日、京都競馬場で行われ、2番人気フェノーメノが好位から力強く伸びて悲願のG1初制覇。断然人気に推されたゴールドシップは直線で伸び切れず5着に敗れた。蛯名正義(44)は02年マンハッタンカフェに続き、同レース2勝目。戸田博文師(49)は06年桜花賞(キストゥヘヴン)以来のG1・2勝目となった。

 蛯名は一心不乱にフェノーメノを追った。来るはずのゴールドシップが後方で伸びあぐねているのは分からなかった。「気配があまりなくて…。来たら仕方ないと思って相手のことは考えず、この馬の競馬をした」。前だけを見てゴールに飛び込むと、自然に左手が上がった。

 断然人気に推されたゴールドシップと同じステイゴールド産駒。昨年ダービー以来の同期対決は、どちらが1番人気か分からないほどの横綱相撲をフェノーメノが演じた。「1周目の坂の下りをうまくクリアできた」。気負うことなく中団で流れに乗る。2周目向正面で徐々にポジションを上げ、4角でトーセンラーが上がってきたのに合わせて仕掛けると鋭く反応。1馬身1/4差の快勝だ。

 愛馬から下りた蛯名は出迎えた戸田師としっかり抱き合った。「互いに言葉にならない感じだった」(蛯名)。気持ちを共有するのに言葉はいらなかった。蛯名は「勝てる力がありながら勝たせてやれなかった。やっと結果を出せて本当にホッとしている」。感慨深げな表情を浮かべた。

 3歳時は惜敗続きだった。鼻差の2着に敗れたダービーで蛯名は涙を流し、戸田師はその肩を抱いた。天皇賞・秋も2着。「無冠の帝王」。ありがたくない異名を返上すべく、手を取り合ってやってきた。日経賞後は香港遠征も選択肢にあった。意見を求められた蛯名は「できれば天皇賞を使ってほしい」。昨秋は適性を重視して菊花賞ではなく天皇賞・秋に出走したが、年明けに馬が成長した。「幼さが解消して落ち着きが出た。これなら3200メートルでも…」と話す師と意見が一致。「チーム・フェノーメノ」でつかんだタイトルだった。

 馬名はポルトガル語で「怪物」の意味。サッカーの元ブラジル代表、02年W杯日韓大会得点王のロナウドの愛称として知られる。師は「まだ大きなことは言えないが、ステイゴールド産駒は成長力があるので、もう1段階も2段階も力をつけてもらいたい」。さらなる進化に期待を寄せた。

 次走は宝塚記念(6月23日、阪神)。雪辱を期すゴールドシップに加え、オルフェーヴル、ジェンティルドンナも出走を予定している。まさにドリームレース。蛯名は手応えを問われると「やるまで分からないから楽しいんじゃないですか」と笑ってみせた。最強はどの馬か?ドキドキワクワクの2カ月が始まった。

 ◆フェノーメノ 父ステイゴールド 母ディラローシェ(母の父デインヒル)牡4歳 美浦・戸田厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道平取町追分ファーム 戦績11戦6勝 総獲得賞金4億6712万8000円。

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