【チューリップ賞】C・デムーロ オーヴァル3連勝で兄へつなぐ

[ 2013年2月27日 06:00 ]

日本でもおなじみとなったクリスチャン(左)とミルコのデムーロ兄弟

 クラシックの鍵を握る男がやってきた。3月2日から短期免許(3カ月)を取得して、日本で騎乗するクリスチャン・デムーロ(20=イタリア)が26日、早々と栗東トレセンで調教に騎乗した。初来日の昨年、チューリップ賞(ハナズゴール)、京都牝馬S(ドナウブルー)を制した若き名手。2日阪神のチューリップ賞では有力馬レッドオーヴァルに騎乗、連覇を目指す。

【チューリップ賞】

 「アイ・ラブ・ジャパン」。20歳の若武者は最高の笑顔を見せ、関係者に頭を下げた。25日に来日。疲れも見せず26日朝、精力的に馬にまたがった。免許取得週の火曜から調教に参加するのは極めて異例。C・デムーロの前向きな姿勢を物語っていた。

 今年の目標はシンプル。「もっと勝ちたい」。母国イタリアの競馬は危機的状況。白星に飢えているのだ。今年は米国に約1カ月半滞在。フロリダ州ガルフストリームパーク競馬場で4勝、2着1回の成績を残した。その間、日本競馬の情報収集も怠っていない。「フェブラリーSの結果も知っているよ」と笑った。

 ちなみに日本での騎乗を終えた後は?「フランスか米国か…。まだ分からない」。騎乗できる場を求めて、世界を渡り歩く。そんな過酷な状況も「いい経験」と前向きに捉える。「イタリアと日本は似ているが、米国競馬はまた別。狭いコースでペースも速い。全調教師がタイムを細かくチェックしていた」。各国の競馬に適応すべく観察し、努力する。厳しい経験は将来の財産になるだろう。

 成長著しい若き腕を見込まれ、チューリップ賞ではレッドオーヴァルに騎乗する。昨年のハナズゴールに続く連覇に向け、前々走(1着)の手綱を取った兄・ミルコから情報を仕入れた。「いい馬だ、チャンスだと聞いた。左回りでは左に張るが右回りなら大丈夫だそうだ」。確かに、右回りの前走・紅梅Sが強い勝ち方。期待は膨らむ。桜花賞では兄が手綱を取る予定。最高の形でバトンを渡したい。

 既に日経賞・オーシャンブルー、大阪杯・エイシンフラッシュ、スプリングS・ロゴタイプと有力馬からオファーが届いている。ロゴタイプもレッドオーヴァル同様、本番の皐月賞では兄へとバトンを渡す予定だ。「騎乗予定馬がどんな馬か、チェックはしている。今年はできればG1を勝ちたい」。厳しい環境を力に変える若き名手は、野心を隠さなかった。

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2013年2月27日のニュース