【凱旋門賞】ライバル騎手が称賛「オルフェは強烈」

[ 2012年9月28日 06:00 ]

<凱旋門賞>デインドリームに騎乗するシュタルケ

 凱旋門賞(10月7日、フランス・ロンシャン)を目指すオルフェーヴル(牡4=池江)を警戒する声が、有力馬に騎乗する名手から次々と上がった。連覇に挑むデインドリーム(牝4=ドイツ)の鞍上、アンドレアス・シュタルケ(38)は「素晴らしい馬だ」と感嘆。日本通のイオリッツ・メンディザバル(38)、06年レイルリンクでディープインパクト(3位入線後失格)を退けたステファン・パスキエ(34)も力を認めた。日本人にとって称賛はうれしいが、どうやらレースでのマークも厳しくなりそうだ。

 「オルフェーヴルには強烈な印象を受けた」

 昨年の凱旋門賞馬で、今年も主役級の1頭であるデインドリームの主戦、シュタルケは語った。オルフェが快勝したフォワ賞と、同日、同じロンシャンで行われたヴェルメイユ賞で騎乗したシュタルケ。オルフェの強さを現場で体感した。

 「2着ミアンドルは欧州のG12勝馬。昨年の凱旋門賞でも、2着シャレータや3着スノーフェアリーと、さほど差のない競馬(6着)をしていた。それをあっさりと退けてしまった。素晴らしい馬だ」

 昨年の凱旋門賞。ミアンドルは、シャレータと1馬身1/4差、スノーフェアリーとは1馬身半差でゴール。そして、今年のサンクルー大賞では、デインドリーム、シャレータを破って優勝した。その強豪を遠征初戦で負かしたのだから、「日本から強敵がやってきた」と言うのも分かる。

 しかし、昨年の凱旋門賞で、そのシャレータやスノーの5馬身以上も前にいたのがデインドリーム。シュタルケは、こう締めくくった。「デインドリーム自身、今年も順調に来ている。日本の最強馬と戦えるのを楽しみにしている」

 同様に、ミアンドルを物差しにしたのがメンディザバル。短期免許やワールドスーパージョッキーズシリーズで、たびたび来日している仏の名手は言う。

 「オルフェとミアンドルの差は1馬身。僕が騎乗する予定のノーリスクアットオールは、ミアンドルをはるか後方に退けたことのある馬。僕の馬の方が上だと信じている」

 もっとも、「今の言葉は、あくまで僕の願望が入っている」とも付け加えた。オルフェの実力は素直に認めているようだ。「日本から長距離輸送をして初戦を勝つことは、なかなかできない。馬の強さと池江師の優秀さがあっての結果。日本の偉大なチャンピオンホースであることは、仏のホースマンの誰もが認めている」

 06年凱旋門賞でレイルリンクに騎乗し、ディープインパクトを破ったパスキエも同様の意見。実力は認めつつ、「凱旋門賞を勝つことは容易ではない」と強調した。

 「休み明けや長距離輸送など多くの課題を克服したことは立派。ただし、折り合いの難しさを露呈した競馬でもあった。個人的には昨年同様、デインドリーム、シャレータ、スノーフェアリーといった牝馬が今年も強いと思う」

 本番は、もっと厳しいと強調したパスキエだが、目下、凱旋門賞での騎乗馬が決まっていない。では、どの馬に乗りたい?こう聞くと、笑いながら即答した。「日本馬に乗りたいね」

 最後に、ライバルの1頭として名前が挙がったシャレータの手綱を取るルメールに聞こう。親日家だが、勝負となれば話は別。彼にとっても凱旋門賞は、小さい頃から憧れる、最も勝ちたいレースの1つだ。

 「オルフェーヴルが真のチャンピオンホースなのは分かっている。でも、シャレータも昨年以上の出来。いい勝負をしたい」

 オルフェの強さを認めつつ、真っ向勝負で退けると誓う名手たち。今年の凱旋門賞も歴史に残る激闘となる。

 ◆アンドレアス・シュタルケ 1974年1月4日、ドイツ生まれの38歳。89年デビュー。ドイツを中心にイタリアでも重賞勝ち多数。デインドリームとのコンビでは昨年の凱旋門賞に続き、今年はイギリスのキングジョージ6世&クイーンエリザベスSを制覇。

 ◆イオリッツ・メンディザバル 1974年5月2日、スペイン生まれの38歳。仏を拠点に騎乗。04年、ローカル開催中心ながら当時の仏新記録となる年間220勝をマーク。初の仏リーディングに。現在はパリ地区など中央開催で騎乗。今年はクリストフ・スミヨン騎手と激しいリーディング争いを展開中。

 ◆ステファン・パスキエ 1978年1月17日、フランス生まれの34歳。94年デビュー。06年凱旋門賞ではレイルリンクに騎乗、ディープインパクトなどを破って初制覇。翌07年、仏リーディングに輝く。

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2012年9月28日のニュース