【宝塚記念】ヒットザターゲット真面目に走れば…

[ 2012年6月20日 06:00 ]

<宝塚記念>坂路調教するヒットザターゲット

 【G1ドキュメント=19日】ほほ笑ましいな、と上岡は思った。朝一番の栗東CWコース。ヒットザターゲットは数度尻尾を振り、頭を上げた。だが、その後の坂路は冷静に駆け上がった。担当の清生助手は照れくさそうに笑った。

 「いつものことだよ。休み明けの火曜や周囲に牝馬がいる時は駄目。ふざけている(笑い)。坂路なら集中できるが…」

 実はこれでも、だいぶマシになった。以前は鞍上に反抗し、コースで立ち上がったこともある。厩舎の先輩でもある母ラティールは98年オークス4着の実績馬。同助手は、その子を担当して4頭目だが、どれも何かしらの癖を持っていたという。能力がありながら素直さを欠く。力を出し切るため、陣営は調教パターンの変更を試みた。

 「角馬場で乗っていたのをCWコースに替えてみた。広いコースの方が気持ち良く走れるし、口向きの悪さも直せると思って」。ストレス軽減が狙いだったが、これがはまった。変更後は5戦4勝。重賞にも手が届いた。今もCWコースで尻尾こそ振るが、これはまだ可愛い方だ。

 同助手は続けた。「古川騎手が、まだ真面目に走ってないって言うんです」。もっと奥があるようだ。母の父は88年の宝塚記念勝ち馬タマモクロス。祖父譲りの成長力と新たな調教パターンを武器に初めてのG1に挑む。

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2012年6月20日のニュース