【オークス】ミッドサマー「びっくり」猛時計!

[ 2012年5月17日 06:00 ]

<オークス>坂路で追い切るミッドサマーフェア

 殿下の懐刀が楽に快時計を叩き出した。「第73回オークス」の追い切りが16日、美浦、栗東トレセンで行われ、トライアル・フローラS圧勝のミッドサマーフェアが余力たっぷりに4F48秒8の猛時計をマーク。急上昇ぶりを見せつけた。騎乗する蛯名正義騎手(43)は手応え十分に3度目の女王タイトルを目指す。同レースの出走馬、枠順は17日に決定する。

 坂路モニターに表示されたミッドサマーフェアの調教時計に小島太師の目がくぎ付けになった。最後まで手応えを残して4F48秒8。自己ベストタイム(昨年12月と今年3月に49秒7)を0秒9、最終追い切りのタイムとしては前走フローラS時の50秒8を2秒も上回った。「びっくりしたよ。ゴール前で抑えたのにこれほどの時計が出るとは。脚抜きがいい馬場状態にしても相当速い」。同師は時計を確認しながら驚きの声を上げた。

 すさまじい加速力だ。小島助手を背に1F目を13秒1でスピードに乗ると、まるで坂などないかのように高低差18メートルの急勾配を軽快に駆け上がる。鋭い脚さばきで2F目、3F目とも11秒6。最後の1Fは手綱を抑えて12秒5。初夏の日差しを浴びて黒鹿毛の馬体は漆黒の光沢を放ち、トモ(後肢)は鋼のような筋肉の鎧(よろい)をまとっている。驚異の加速力を生み出したのはトモの急激な変化だ。

 「(トモが)パンパンに張っているだろう?実が入ってきたんだな。動きも前走以上の迫力。最高の状態で送り出せる」。小島太師は確信めいた口調で断言した。

 桜花賞は賞金不足で出走できなかったが、君子蘭賞(500万)を3馬身半差、トライアル・フローラSを2馬身半差で圧勝して臨む大一番。小島助手は「この2戦で急激に力をつけてきた。テン(序盤)にもたつくところがあるから距離延長もプラス。桜花賞よりもオークスの方が向いている」と言う。

 血統も東京2400メートル仕様だ。女傑ウオッカ(07年ダービー馬)を送り出したタニノギムレット(02年ダービー)産駒。母の父キングマンボはキングカメハメハ(04年ダービー)、エルコンドルパサー(98年ジャパンC)、アルカセット(05年同)を輩出。小島太師は「母系の底力が伝わっているし、2400メートルも大丈夫。桜花賞1、2着馬(ジェンティルドンナ、ヴィルシーナ)に、どこまで通用するかは分からないが、こちらには血統に加えて地の利、そして成長力がある。今までのレースは練習だと思って勝負を懸けたい」と締めくくった。

 楽に計時した猛時計は成長力の証。ミッドサマーフェアとは真夏の祭典だが、夏を待たずにタイトル獲りの機は熟した。

 ≪969頭中、最高タイム≫ミッドサマーフェアがマークした坂路4F48秒8は、16日に坂路調教を行った延べ969頭の最高タイム。2位カフェマーシャル(49秒2)に0秒4差をつける猛時計となった。1月以降の計測でも4位にランクされる。過去1年ではシンボリグランが出した48秒0(11年10月)が最速。

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2012年5月17日のニュース