【ジャパンC】これがブエナだ!次走有馬がラストラン

[ 2011年11月28日 06:00 ]

<ジャパンC>強豪を退けジャパンCを制したブエナビスタ(中央)。鞍上の岩田はガッツポーズ 

 最強牝馬が復活した。「第31回ジャパンカップ」が27日、東京競馬場で行われた。デビュー以来19走続けてきた1番人気の座を譲った2番人気ブエナビスタだったが、力強い末脚で天皇賞馬トーセンジョーダンとの叩き合いを制した。昨年降着したこのレースの雪辱を果たすとともに、昨年の天皇賞以来の勝利で6つ目のG1タイトルを手に入れた。また、1番人気の凱旋門賞馬デインドリームは6着に終わった。

 2年越しの同じ舞台。ブエナビスタが正真正銘、最強を証明した。ゴールした瞬間、岩田は右手をグッと引いてのガッツポーズ。レース後は晴れ晴れとした表情で激闘を振り返った。

 「最高の手応えでした。直線はブエナビスタが1番強いと思って追いました。ゴールして悔しい思いがやっと晴らせました」

 苦しい思いがあった。今春からコンビを組んで2、2、4着。特に前走の天皇賞・秋は内で詰まる形で「判断ミス」と自分を責めた。今回も同じインのポジションだったがこの日は動じなかった。「スタッフが最高の状態をつくってくれて、走りそのものが伸び伸びしていた」と手応えを信じたからだ。直線、進路が開くのを待って外へ。「外から蹄の音は聞こえなかった」。ならばトーセンジョーダンとの一騎打ちだ。こん身の手綱で最後は首差のリードをもぎとった。

 ブエナ最強を信じていたファンからは大歓声。ウイニングランでは「岩田コール」に深々とこうべを垂れた。そして涙。「(調教助手の松田)剛さんと(厩務員の山口)慶次さんが泣いていて」ともらい泣き。松田博厩舎には岩田専用のロッカーがあるほど気心の知れたスタッフと最高の喜びを分かち合った。

 松田博師は「ゴールに入った瞬間、あ、やっぱり強かったな、と思った」と心境を表現した。休み明けをひと叩きしての良化が顕著。「日本の馬には負けるような気はしなかった」との自信があった。だが質問が昨年の降着(1位入線も2着)に及ぶと、嗚咽(おえつ)とともに絞り出すような涙声。「去年はスミヨンに悪いことをして…。今年は勝てて良かったです」

 昨年の降着後は誰も責めなかった。「時間が掛かりすぎ」と手際の悪さこそ指摘したが、裁定結果にも騎乗にも不満を公言したことはない。グッと胸にしまい込んでいたものが、1年後にあふれ出た。

 レース後、次走の有馬記念での引退が馬主のサンデーレーシングから発表された。松田博師は力強く締めた。「最高の状態で使えるよう努力したいと思います」

 波乱万丈の競走生活もいよいよ終幕。涙の復活Vの次は、笑顔のお別れVを。そんなファンの願いを背負い、希代の名牝がラストランに向かう。

 ◆ブエナビスタ 父スペシャルウィーク 母ビワハイジ(母の父カーリアン)牝5歳 栗東・松田博厩舎所属 馬主・(有)サンデーレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績22戦9勝 総獲得賞金14億7886万9700円。

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