足立勝久師「馬一筋」に別れ…寂しさと達成感

[ 2011年11月18日 06:00 ]

勇退した足立勝久調教師

 川崎の足立勝久師(68)が先週の地元開催で身を引いた。サンリキユウ(アラブ)の81年ブルーバードCを皮切りにブルーラッドの09年G2浦和記念まで重賞25勝。地方通算6743戦756勝を積み重ねた。「馬一筋の生活に別れを告げた寂しさと、やり切ったとの思いが交錯する」という。

 公務員を目指していた大学生の時、川崎で開業していた父の厩舎で人手が足りず手伝うようになったのが人生の転機。厩務員、調教師補佐を経て74年に自厩舎を開業した。「なんといってもスタッフが第一」と気を配り、馬には「愛情をもって接すれば必ず、はね返ってくる」と初志貫徹。馬を怒る人は受け入れなかった。

 09年にはサイレントスタメン、ブルーヒーローで東京ダービー1、2着。ワンツーと言えば聞こえはいいが勝って喜び、負けて落胆した。「複雑な思いでした。でも、今思えばあの頃が一番良かったですねえ」と穏やかに語る。今年の夏、中央移籍を控え、活躍を期待していた管理馬が腸捻転で死んだ。長い調教師生活で2度目。「死なせてしまった」とのショックが大きく、この頃から厩舎の整理を始めた。スタッフと馬の行き先が決まるのを待って勇退。名調教師は今後、静かに競馬を見守っていく。(池田 裕文)

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2011年11月18日のニュース