【桜花賞】マルセ飛んだ!ディープ産駒、初戴冠

[ 2011年4月11日 06:00 ]

<桜花賞>馬群を割って突き抜けたマルセリーナ(中央)

 クラシック第1弾「第71回桜花賞」が10日、阪神競馬場で行われた。2番人気のマルセリーナが鮮やかに突き抜けて優勝。父ディープインパクトに、初年度産駒が早くも初のG1タイトルを届けた。松田博師にとっては、出走がかなわなかった2歳女王レーヴディソール骨折の無念を晴らす勝利。安藤勝の51歳13日でのクラシック制覇は、自身の持つ記録を約2年ぶりに更新する最年長記録となった。

 着差はわずか3/4馬身。それでも序盤の不利を克服し、馬群を割って抜け出してきたマルセリーナの勝負根性には、偉大な父の姿がダブって見えた。

 「スタートを出て挟まれたから、下げざるを得なかった。思ったより位置取りが悪くなって不安だったけど馬が強かった。自分はミスをしたけれど馬に助けられました」。安藤勝の偽らざる本音。本当に苦しい競馬だった。スタート直後の不利で3角では後方15番手。内ラチ沿いに押し込められて動くに動けず。「これは駄目だと思った」と松田博師も一度は諦めた。

 しかし、4角を回ると突然マルセリーナに追い風が吹いた。内からジワジワ4頭分ほど外に持ち出すと、馬群にわずかなスペースができた。「あそこしか出るところがなかった」。鞍上がすかさずゴーサインを送ると、後は末脚がはじけるだけ。一瞬で抜け出すと、外から来たホエールキャプチャを退けて先頭でゴールを駆け抜けた。

 「抜けるときの脚は凄かった。一瞬の脚は思った以上だったよ」とパートナーも驚く末脚は、骨折により桜の舞台を踏めなかった僚馬レーヴディソールによって引き出されたものかもしれない。デビュー戦は、レーヴが制した阪神JFを翌日に控えた昨年12月11日。最終追い切りはレーヴとの併せ馬だった。「この馬はモノが違うと思っていた」。指揮官が素質を見込んだからこそ、デビュー前から異例の英才教育を受けた。

 決して平たんな道を歩んできたわけではない。昨年の7月24日、滞在先の札幌競馬場での調教中、キャンターの止め際でぬかるんだ馬場に脚を取られてつまずき、両膝を打ち付けた。外傷としては珍しい、3カ月の見舞金(175万円)が出るほどの重傷だった。前走のエルフィンS後には、予想外の馬体重減で予定していたチューリップ賞を使えない誤算もあった。これだけの苦難を乗り越えての戴冠。秋の全開を目指す僚馬へ、少しばかりのエールになったかもしれない。

 「使うごとに進化している。距離が延びても問題ない。とにかく無事でオークスまで行ってほしい」。安藤勝は早くも樫の舞台を見据えた。そしてファンはその先を、いつかきっと訪れる2歳女王との対決を楽しみに待っている。

 ◆マルセリーナ 父ディープインパクト 母マルバイユ(母の父マルジュー) 牝3歳 栗東・松田博厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績4戦3勝 総獲得賞金1億5359万円。

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