【フェブラリーS】トランセンド“最強砂王”襲名

[ 2011年2月21日 06:00 ]

<フェブラリーS>優勝レイをかけ、口取り式に向かうトランセンド

 中央競馬の11年最初のG1「第28回フェブラリーS」が20日、東京競馬場で行われた。1番人気トランセンドが好スタートから逃げ切って快勝、昨年のジャパンCダートに続くG1連勝で最強ダート王誕生を高らかにアピールした。JRAダートG1をともに制した馬は史上5頭目となった。また、藤田伸二騎手(38)はデビュー以来21年連続重賞勝ちを決めた。フリオーソが直線強襲したが2着まで。99年メイセイオペラ以来の地方馬中央G1制覇はならなかった。

【レース結果 戦い終えて】

 今週の騎乗がこのレース1鞍だった藤田。「1番人気に支持された以上、1着しか考えていなかった。負けられない一戦。ずっとプレッシャーがかかる展開をよく辛抱してくれた」と結果を出したトランセンドをねぎらった。

 レースの分岐点はいくつもあったがトランセンドは全てを力でクリアした。不安視されたスタート後の芝。好スタートを切ってハナに立ち、理想のポジションを確保した。ホッとする間もなく、今度は外からマチカネニホンバレが馬体を併せてきた。スタミナを消耗しかねない場面。だが藤田は横の馬を意識することなく、自分のペースを守り続けた。

 直線では二枚腰で踏ん張りきった。左右のムチを武器にマチカネ、バーディバーディを競り落とす。最後に地方最強馬フリオーソが飛んできたが、これも抑えて1馬身半差の快勝。力でねじ伏せる圧巻の逃走劇だった。

 「1600メートルは、この馬にとって気持ち短い。それに終始突つかれて苦しい展開。最後までもつか心配だったが…力を付けている」(藤田)。ダートG1連勝、砂の新王者の成長力は名手の想像を超えていた。

 安田師はドキドキしながらレースを見つめた。「他馬に絡まれながら4コーナーを迎えた時は“あー、ダメダメ”と声が出た。残り100メートルで勝利を確信できたが…体に悪いね」と苦笑いだ。昨年はジャパンCダートを勝ったが最優秀ダートホースの座をエスポワールシチーに譲った。猛烈に悔しがった安田師は今年のタイトル奪取を誓った。「いずれエスポワール、スマートファルコンとも顔を合わせる。その時はこの馬の強さを見せつけたい」。決意に満ちた言葉だった。

 次走は藤田を背にドバイ国際競走(3月26日)へ。すでにゴドルフィンマイル(G2)に招待されているが、この優勝でワールドC(G1)に招待が切り替えられる可能性がある。「希望はワールドC。世界でどんな競馬ができるか僕自身が楽しみ」(安田師)。ブエナビスタ、ヴィクトワールピサとの夢対決の可能性も膨らんできた。「超越する」という意味の馬名を持ったニュースターは、想像を超越した速さで世界の頂点に立つかもしれない。 

 ◆トランセンド 父ワイルドラッシュ 母シネマスコープ(母の父トニービン)牡5歳 栗東・安田厩舎所属 馬主・前田幸治氏 生産者・北海道新冠町ノースヒルズマネジメント 戦績15戦8勝 総獲得賞金4億771万6000円。

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