武豊超える男・三浦皇成はクールでしたたか18歳

[ 2008年7月31日 06:00 ]

関係者が絶賛する18歳・三浦皇成

 武豊を超えるのはこの男だ。中央競馬で今年3月にデビューした三浦皇成(こうせい=18)は驚異のスピードで勝ち星を積み上げ、すでに37勝(30日現在)をマークし、関東リーディング8位。新人騎手最多勝利記録となる69勝を挙げた武豊を上回るペースを刻んでいる。武豊超えの可能性、三浦自身の凄さなどを探った。

 競馬学校卒業時から「武豊以来の天才」と評判だった三浦の初勝利は鮮烈だった。3月1日のデビュー当日、3戦目の潮来特別。ペース配分や位置取りの難しい長距離戦(芝2500メートル)でフェニコーンを駆り、直線あっさりと抜け出した。「噂通り乗れる、追える!!」。三浦が超A級の素材であることは、この初勝利で定まった。
 その後も順調に白星を重ね、1回新潟では中舘(13勝)に次ぐリーディング2位(9勝)。現在、滞在する函館でも開催リーディング2位(13勝、1位は安藤勝20勝)をキープ。新人離れした騎乗ぶりの秘密は冷静さだ。三浦起用で3勝を挙げている相沢郁調教師は「レース中、慌てずワンテンポ待てる。天性のセンスだ」と語る。本人も、その点は意識していて「レースでは流れに乗ることを心掛けている。その時の状況に、どう対応すべきか、その判断を大切にしている」。早すぎる仕掛けが逆に流れを断ち切ることを知っている。
 周囲の評価は武のデビュー時(87年)と似ている。早くから武の才能に注目、騎乗機会を与えた浅見国一元調教師(現スポニチ大阪本社評論家)は「三浦君のレース運びは実にしたたか。長身で体が柔らかいのもいい。武君が出てきた時と共通するものがある」と、うなった。三浦の白星ペースは武の1年目を上回り、史上最速で30勝到達。武の父である武邦彦調教師は「豊は師匠の武田作十郎さんや浅見さんらの引き立てがあった。三浦君が多く乗れるのも師匠・河野さんのおかげ」と言う。肝心の技術も浅見氏は「馬に密着した騎乗姿勢には安定感がある。無駄な動きをしない」と評価する。

 ≪ユタカからコウセイにエール≫さて、今後5カ月で、どこまで勝ち星を伸ばすか。鍵は騎乗数になりそう。武ですらデビュー3年目で、ようやくできた1日全レース騎乗を、すでに3回。ここまでの騎乗数は356回。このペースなら武の新人騎手最多騎乗(554回)を更新するのは確実。勝ち星は騎乗数に比例して伸びていくもの。騎乗700回を楽にクリアするようなら80勝到達も夢ではない。「今は数字を意識せずにトップ騎手の技術を少しでも盗み、自分を磨きたい。武さんの記録超え!?周囲の方の応援には応えたいが、僕は僕なので、あまり意識していない」と三浦。18歳とは思えぬ落ち着いたコメントに“武超え”の期待が膨らむ。
 最後に、武豊本人に三浦について聞いた。「よく勝つね。僕のデビュー時よりも勝っている」。そして、こんなアドバイスを。「この世界はメディアを含め、飛びつくのは早いが、ソッポを向くのも早い。今は新鮮だから騒いでくれるが、決してはやりものとならないよう、地に足をつけて頑張れ。今後3年間が勝負!!」。武を追いかける三浦の長い闘いはこれからだ。

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2008年7月31日のニュース