紅ゆずる(上) 希代の“名人”が挑む、宝塚初「落語ミュージカル」

[ 2018年4月22日 13:23 ]

「ANOTHER WORLD」(4・27~6・4宝塚大劇場、6・22~7・22東京宝塚劇場)

宝塚歌劇初の試みに「絶対成功させたい」と語る紅ゆずる
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 宝塚初の“落語ミュージカル”「ANOTHER WORLD」が4月27日、兵庫・宝塚大劇場で開幕する(6月4日まで。東京宝塚劇場は6月22日〜7月22日)。主演の星組トップスター紅ゆずるはアドリブや絶妙な間を利かし、客席を引き込む希代のタカラジェンヌ。その手腕を買われての“抜てき”に「(演出の)谷(正純)先生がずっとやりたくて、温めていた作品。絶対に成功させたい」と力を込めた。

 故桂米朝さんが十八番にしていた上方落語の大ネタ「地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)」や「朝友」など死後の世界を舞台にした純愛冒険物語。紅はこの作品が決まってから初めて寄席に行き落語の醸し出す空気を感じ取ったが「面白さは大切だと思いますけれど、宝塚であることを忘れてはいけないな、と思っています。“ほのぼのといい作品だったね”というのが伝われば」。

 10月にはトップになって初の海外公演を台湾で行うことも決まっている。5年前、当時のトップスター柚希礼音率いる星組で行った台湾公演は、準主役という立場だった。「まさか、自分がトップになってまた行くことができるなんて。頑張らないと、と熱い思いはあります」。今では台湾から日本に観劇に訪れるファンも増えた。一昔前は女性ファンだけが客席を占めることがほとんどだったが、最近では男性からのファンレターが届くことも。「“服装をまねてみました”なんて書いていただくこともあって、ついにこういう時代が来たか、と思うとやっぱりうれしい」。104年の歴史を踏まえて変わっていく宝塚。その中心には間違いなく紅がいる。(土谷 美樹)

 ◆紅 ゆずる(くれない・ゆずる)8月17日生まれ。大阪市出身。東大谷高を経て02年初舞台。星組配属。08年「スカーレットピンパーネル」で新人公演初主演。11年「メイちゃんの執事」でバウホール初主演。16年11月、トップスター就任。身長1メートル73。愛称「さゆみ」。

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