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ガンプラに新しいZガンダム アクションにこだわり

[ 2017年5月2日 15:28 ]

HGUCの新しいZガンダム。可動域が広がり、さまざまなポーズが取れるようになった(C)SOTSU・SUNRISE ※アクションベースは別売り
Photo By 提供写真

 人気ロボットアニメ「機動戦士Zガンダム」の主役機「Z(ゼータ)ガンダム」の144分の1スケールプラモデルが、このほどリニューアルされた。バンダイの「HGUC 1/144 ゼータガンダム」だ。

 ちなみにHGUCとは、144分の1スケールのガンプラをまとめたHG(ハイグレード)シリーズの1カテゴリー。オールドファンもおなじみのファーストガンダムを含む作品世界「宇宙世紀(Universal Century)」のメカがモデル化されている。

 今回のZ開発を担当した同社ホビー事業部ガンダムチームの内田巧チーフによると「アクションにこだわり、可動を追求したモデル」だという。その言葉どおり、ロボットアニメプラモの醍醐味である「ポージングの楽しみ」を突き詰めたモデルになっている。

 プロポーション的には、より“小顔”になり、腰前部のアーマーが長くなった印象だ。だがこのモデルの魅力は、動かした方がよく分かる。

 例えばZの武装で最大の火器「ハイパー・メガ・ランチャー」を両手で持って構えられるようになったが、これは新構造の肩関節のおかげ。人体の感覚でいえば、肩甲骨を背中で合わせるように肩を後ろに開き、逆に前方向に閉じる動きができる。肩を耳に付けるような上げ方もできるようになった。

 腰だけでなく、胸部に関節が1つ加わったことで、上半身を自然に反らしたり、かがめたりもできるようになった。

 Zといえば、人の形をしたモビルスーツ(MS)形態から、「ウエイブライダー」と呼ばれる飛行形態への変形が大きな魅力だ。

 可変MSをモデル化する難しさは「MS形態と飛行形態のバランスの取り方」(内田チーフ)にある。空想の産物であるMSのポージングを追求し、関節構造を改良していくこと自体が困難な作業だが、その上で戦闘機に変形させなくてはならない。ここに「カッコ良くなくてはならない」ガンプラの宿命が加わる。

 技術者としては、悩ましくも楽しいモデルだろう。内田チーフは「MS形態で関節を改良し、ウエイブライダーに変形してチェック、またMSにしてチェックして…その繰り返しです」と苦笑いした。

 HGUCのZは99年と03年に続き今回で3代目。100分の1スケールの「MG(マスターグレード)」などがアニメ同様の“完全変形方式”を採用しているのに対し、一部のパーツを差し替えて変形させる方式を採ってきた。今回もその方針は変わらない。スケールや価格帯(HGは1000〜2000円台)の制約もあるが、プロポーションとポージングを求めれば納得の選択だ。

 前モデルの完成度も高かったが、新作は当然さらに上を行く。より派手なアクションポーズを取れるのはもちろん“差し替え変形”も進化した。以前は飛行形態時に“余り部品”となっていた肩から腕の収納が可能になった。一体成形されていた肩アーマーのパーツを分割し、一部に可動ギミックを採り入れるなどしたためだ。

 組み立て前のパーツ総数は、前モデルから40点あまり増えて約200点となった。価格は1600円から1800円(ともに税別)となったが、よく200円の増額で抑えたなという印象だ。内田チーフは「ガンダムという名を持つ機体はただでさえ重要ですが、中でもZは屈指の人気モデル。多くの人に手に取ってもらいたいので、1000円台に抑えたかった」と話した。

 今回のΖは、バンダイが掲げる「GUNPLA EVOLUTION PLOJECT」の第1弾。同企画の目的は、ガンプラ誕生40周年の2020年に向けた「新たなスタンダードの創設」だという。HGやMG、PG(パーフェクトグレード、60分の1)などに続く新たなブランドの立ち上げなどが念頭にあるとみられる。続く第2弾、第3弾も、今回のZで押し出した“アクション”のような重点ポイントを設定して開発していくという。

 1980年に誕生したガンプラは新技術が次々に投入され、進化を続けてきた。恐らくそれは、これからも止まることがない。内田チーフは「このZで、あと10年は戦える」と劇中の名セリフをもじって自信を示したが、そこには今後も続く研究開発への意気込みも感じられた。

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