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【1987年2月】愚か者/近藤真彦 大人になったマッチ レコ大 大接戦受賞

[ 2012年2月28日 06:00 ]

★87年2月ランキング★
1 TANGO NORI/中森明菜
2 雪國/吉幾三
3 Oneway Generation/本田美奈子
4 NO MORE恋愛ごっこ/おニャン子クラブ
5 愚か者/近藤真彦
6 愛しき日々/堀内孝雄
7 木枯しに抱かれて/小泉今日子
8 楽園のDoor/南野陽子
9 TOO ADULT/渡辺美奈代
10 STAR/浅香唯
注目ランニング・ショット/柴田恭兵
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【愚か者/近藤真彦】

 1980年のデビューから7年。やんちゃなアイドル「マッチ」が大人になった87年だった。

 86年11月、近藤は最愛の母を交通事故で亡くした。最大の理解者だった母の死がまだ癒えぬ、87年1月1日に22枚目のシングル「愚か者」が発売。スタッフはこの年をマッチのアイドル路線からの決別、アダルト・ポップス路線の始まりと位置付け、その第1弾として同曲を用意した。

 作詞は近藤のかつてのヒット曲「ギンギラギンにさりげなく」「情熱・熱風・せれなーで」を手掛けた伊達歩こと、作家の伊集院静が担当。前の2曲とは違った世界を描き、近藤のスタッフ側の要望に応えた、大人の男の歌詞に仕上がった。作曲は日本テレビ系刑事ドラマ「太陽にほえろ」のテーマ曲で知られる井上堯之が担当した。

 オリコンチャートで1位を獲得することはなかったが、TBS「ザ・ベストテン」では2月5日に1位に。近藤の1位は85年6月27日の「夢絆」以来、1年8カ月ぶりだったが、デビュー以来22曲連続ベストテン入りという快挙も成し遂げた。

 「愚か者を歌うたびに、去年までの自分が子どもで愚かだったことに気が付く」とよく口にしていた近藤。その後も6月に「さすらい」、9月に「泣いてみりゃいいじゃん」と大人の男を強調した曲を発表。気がつけば1年間の総決算である「日本レコード大賞」の最有力候補として名前が上がっていた。

 これまでもチャンスはあったが機が熟していなかった。が、この年は近藤の成長を音楽関係者も認めた。五木ひろしとの決選投票になったレコ大は、審査員17人によって行われ、なんと9対8の1票差で近藤の「愚か者」が受賞した。

 しかし、大賞受賞の栄光の裏には母親の遺骨が墓から盗み出され、事務所に「レコ大受賞を辞退せよ」との脅迫文が届く騒動もあった。その事実が公になったのは年明けのことだった。

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