365日 あの頃ヒット曲ランキング 1月

【1975年1月】わたし祈ってます/敏いとうとハッピー&ブルー 盗作騒ぎ?真相は…

[ 2012年1月29日 06:00 ]

 ★75年1月ランキング★
1 冬の色/山口百恵
2 はじめての出来事/桜田淳子
3 愛の迷い子/アグネス・チャン
4 あなたにあげる/西川峰子
5 わたし祈ってます/敏いとうとハッピー&ブルー
6 わるい誘惑/沢田研二
7 旅愁/西崎みどり
8 華麗なうわさ/フィンガー5
9 涙と友情/西城秀樹
10 甘い生活/野口五郎
注目木枯しの二人/伊藤咲子
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【わたし祈ってます/敏いとうとハッピー&ブルー】

 好いて惚れた男と泣く泣く別れ、「幸せになってね」と陰から願い続けるけなげな女心を描いた「わたし祈ってます」は、レコード売り上げ45万枚を記録。74年7月の発売だったが、この手のムード歌謡曲は秋から冬にかけて流行るのが定番。有線放送から火がつき、それがレコードセールスにも結びついた。

 学生時代からハワイアンバンドを結成、ラテンミュージック、そしてムード歌謡と渡り歩いた敏いとうが率いる7人グループは71年にデビュー。実力はあったが、ヒット曲はなく、全国のキャバレーなどを転々、地方巡業で食いつないでいた。

 かつて人気アニメ「タイガー・マスク」主題歌を歌っていた、甘い声の持ち主である森本英世をメーンボーカルに据え、3年目でようやくヒット曲にたどり着いたが、この曲が売れ出すと周囲が予想もしなかった問題が起きた。実は「わたし…」はハッピー&ブルーのために作られた作品ではなく、敏いとうが半ば強引に勝手にレコーディングしてしまったのであった。

 曲を聴いてみると、71年に「松平直樹とブルーロマン」がリリースした「幸せになってね」とそっくりだった。松平側が「盗作だ」とクレームをつけたところ、敏いとうはこう切り替えした。

 「この曲は69年にブルー・キャンドルというグループをやっていたころ、作詞、作曲を手掛けた五十嵐悟さんからいただいたもの。それをステージでは歌っていた。ただ、時期を待ってレコード化しようと思っていたから遅くなっただけ。レコードとして先に世に出たのは向こうかもしれないが、オリジナルはウチ」。

 どうも真相は酒の席で敏いとうが「あの歌いいですね、僕にも下さい」と五十嵐に迫ったところ、酔いに任せてOKしてしまったようだ。松平直樹とブルーロマンスが先に発売したか、敏いとうらがステージで歌いだしたのが先かどうかは、今でははっきりしない。

 ハッピー&ブルーがタイトルを代え、編曲でアレンジも別なものにしたところを考えると、敏いとうの主張はちょっと…という感じもするが、このヒットで人気を得たハッピー&ブルーは続けて「星降る街角」「よせばいいのに」なども売れに売れた。

 ムードコーラスの代表的グループとして70年代後半に活躍。敏いとうの豪放らい落な私生活とあいまって、今でも広く知られている。

 

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