365日 あの頃ヒット曲ランキング 1月

【1996年1月】冬のファンタジー/カズン 祖母の死が導いたいとこデュオ

[ 2012年1月28日 06:00 ]

 ★96年1月ランキング★
1 FACE/globe
2 マイ・フレンド/ZARD
3 Chase the Chase/安室奈美恵
4 I BELIEVE/華原朋美
5 My Babe 君が眠るまで/シャ乱Q
6 ゲレンデがとけるほど恋したい/広瀬香美
7 冬のファンタジー/カズン
8 Happening Here/TRF
9 痛快ウキウキ通り/小沢健二
10 俺たちに明日はある/SMAP
注目そのままの君でいて/岡本真夜
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【冬のファンタジー/カズン】

 明らかに主流を占める売れ筋の音楽とは異質なものだった。男女2人のデュオのハーモニーは真冬のいてつく夜にこそ聞きたい、澄み切っていながら、心が温まる優しい歌だった。

 古賀いずみ、漆戸啓のいとこ同士で93年に結成したカズンが歌った「冬のファンタジー」。95年10月16日と秋真っ只中の発売ながら、その曲が徐々に認知され始めたのは年末あたりから。サッポロビールのCMソングとして頻繁に流れ出すと、問い合わせが殺到。それまでこじんまりしたライブステージをマイペースでこなしていたが、いきなりテレビの歌番組やラジオに引っ張りだこに。古賀が思わず「普通に戻りたい!」と絶叫したほどだった。

 偶然の出会いが2人を組ませた。結成1年前、同じボーカル・スクールに通っていたことで再会。共に子どもの頃からピアノを習い、それぞれが音楽をやっていたことは知っていたが、ここできっかけができた。

 さらに翌年、祖母が他界した際、漆戸が捧げる歌として「おばあちゃんの誕生日」を作った。当時東京・浅草のバーで弾き語りをしていた古賀が、後日漆戸をゲストで呼び「おばあちゃん…」を2人で歌った。この瞬間に男女いとこデュオという珍しいユニットが誕生したのだった。95年にメジャーデビュー。「冬のファンタジー」は3枚目のシングル盤だった。ただ、曲のイメージが強く、カズンという名前よりも「冬のファンタジー、の人たち」と覚えられることがしばしばあったという。

 CMソング、映画主題歌など「冬の…」のヒットで次々と大型のオファーが来たが、ここれでスタンスを崩すことなく、現在でもインディーズとして活動が続いている。大ヒットは確かにこの曲のみで、いわゆる“一発屋”として位置付けられたりもするが、世界の平和チャリティーコンサートに参加したり、ブラインドサッカーの公式応援ソングを制作したりと、軸がぶれない独自路線の活躍が目を引く。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る