365日 あの頃ヒット曲ランキング 1月

【1992年1月】それが大事/大事MANブラザーズバンド 大ヒットも怖くなった…

[ 2012年1月11日 06:00 ]

 ★92年1月ランキング★
1 それが大事/大事MANブラザーズバンド
2 PIECE OF MY WISH/今井美樹
3 僕はこの瞳で嘘をつく/CHAGE&ASKA
4 Choo Choo TRAIN/ZOO
5 ほっとけないよ/楠瀬誠志郎
6 冬がはじまるよ/槇原敬之
7 WON’T BE LONG/バブルガム・ブラザーズ
8 替え唄メドレー3(完結編)/嘉門達夫
9 会いたい/沢田知可子
10 少年時代/井上陽水
注目見つめていても/瀬能あづさ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【それが大事/大事MANブラザーズバンド】
 最後通告をされたバンドはこの1曲に賭けていた。

 前2作のシングルが全く売れず、「これが売れなければ解散」と事務所にいわれた5人組。「ならばと逆に士気が上がった」という3枚目のシングル「それが大事」。「負けないこと 投げ出さないこと…」で始まる力強い人生応援歌は、背水の陣の思いが歌詞にも曲にも乗り、それが聴き手の心も射抜き、ジワジワと浸透。10月には静岡、広島などで有線放送の1位となった。

 ラジオ番組にもリクエストが集まりだすと、CDも売り上げが急増。91年末にオリコンチャートで1位を獲得すると、その勢いは年明けも衰えず、1月末まで5週連続トップ。フジテレビ系のバラエティ番組「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」のエンディングテーマとなったことも追い風となり、計161万枚をセールスした。

 メンバーは埼玉県草加市出身。デビュー曲はボーカルの立川俊之と同級生で同じ中学に通っていた、タレントの森尾由美を意識して「Mo―Rio」のタイトルにしてみたり、歌詞の中に近隣の越谷や松原団地などをちりばめるなど、“草加のサザンオールスターズ”などとも言われた。

 時はバブル崩壊で日本が元気をなくしていた時期。この人生の応援歌的な曲は日本人の心に染みた。が、大事MAN…がこういう作風の曲を歌ったのは、あまりないことだった。気を良くした事務所は「次も同じ感じでヒットを」とリクエストしたが、当人たちはかなり戸惑っていた。

 「1位になってとても怖くなった。もう上はない、あとは落ちるだけだと…。とても居心地が悪かった。曲を出したときのような士気の高まりがメンバーからなくなった」(立川)。売れることを目指して出した曲が、皮肉な結果となった。バンドは96年に解散した。

 発売から20年。この曲が再度クローズアップされ、人々を励ましている。東日本大震災の被災地では「それが大事」によって勇気をもらっている人もたくさんいるようだ。立川は言う。「それぞれの人が、それぞれのつらい時期に、この曲を自分のものとしてとらえてくれた。うれしいよね」(毎日新聞10月14日付夕刊)。

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