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頑張れ!インディーズ File82

頑張れ!インディーズ File82

何十年聴いても、常に発見のある作品を

ボーカルの泉田理歌
Photo By スポニチ

 「何十年聴いても、常に発見のある作品」。絵画でいえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」、ゴッホの「ひまわり」…。名作と呼ばれる作品は、数百年の歳月を経ても色あせず、むしろ評価は高まっていく。時として、彼らの絵画は現代人の我々の目に新しくさえ映るかもしれない。

 音楽はどうだろう。たとえば、クラシックはヨーロッパで産声を上げて芸術に昇華された。日本でも、民謡は世代を超えて広く歌い継がれている。では、ポップスの場合はどうか。“今の時代を歌う”大衆音楽であるがゆえに、流行に左右される。このため芸術的な音楽と比べると、どうしても鉄のように熱しやすく冷めやすい性質がある。

 Tail’zはこのポップスを“名画”のように昇華させようとしている。都内の美大出身で絵画を専攻していたボーカルの泉田は言う。

 「私の出身は音楽ではなく、絵画のほうなんです。絵画の本当の名作って何十年、何百年経ってから見ても新たな発見がある。音楽でもそれを表現していきたい」。

ボイスという楽器

ギターの壬菜
Photo By スポニチ

 作詞作曲の過程においてこだわりがある。「言葉を1つの音としてとらえる」というのだ。「どうしても文章にしてしまう部分があるので、意味は持ってしまうが、音の響きと音の構成で作品性が伝わるようにしている」。作詞作曲ではなく、すべて作曲するイメージだ。

 言葉の壁を超えて伝わる音楽作りが信条。そのため、歌声を楽器の1つとしてとらえている。「普通の歌物は、言葉にサウンドを乗せることによって内容、メッセージを伝えるが、それとは違う。言葉が分からない国の人が聞いても、曲にある言葉の揺らぎなどによって心情やテーマが心で伝われば、感性が伝わるはず」。

 本来、言葉は音の一種であり、意味は後付けされたものだ。ゆえに、人間の本能的な「音を聞く」仕組みから考えると、言葉を音のひとつとしてとらえることは国籍や文化の違いを超えて受け入れられる可能性を示している。

ライブで起きる“化学反応”を追い求めて

ピアノの斎藤麻莉
Photo By スポニチ

 「ジャンルにはまらないものは最終的にポップスだと思う」。玄人受けする世界観だけに、“マニアック”なファンが多いという。“マニアック”というのは「ヘッドホンでジ〜っと音を聞いているような、本当に音楽が好きな人という意味ですよ」とギターの壬菜は笑った。

 どの時代に誰が聞いても理解される普遍的な音楽を目指している彼女たちだが、ライブでは逆に変化をつけるように心掛けている。ファンの耳が肥えているだけに「聞く側に挑戦的な人が多い。だからライブで毎回変化をつけていき、新しい発見をしてもらうようにしている」と真正面から観客にぶつかっていく。

 頭で考えず、本能のままに音楽を表現したときにステージ上で“化学反応”が起きるという。「頭に描いたものをそのままやろうとすると、自分の枠を超えていかない。生の空間で、自分も想像してなかったサウンドが出来るときがある。観客の力があることで、自分たちはそのプレッシャーに負けないようにやらなければならない。だから、2つの力が合わさると、思わぬ反応を示すときがある。理性を超えた感覚が残る。そういう感覚を得ることによって、新しいことにつながっていく。それがライブの醍醐味」。

才能が埋もれないために“原点回帰”が必要では

取材後に笑顔を見せた「Tail’z」の壬菜、泉田理歌、斎藤麻莉
Photo By スポニチ

 音楽を“芸術”としてとらえる彼女たち。メジャーに進出して自分たちの世界をさらに広めたいのかと思えば、そうではない。むしろ慎重な姿勢を見せている。「文化の発展という本来あるべき姿じゃないところに価値を置いている気がする」。90年代にミリオンセールスを次々と記録した“音楽バブル”によって、マーケティングの比重を大きくしたメジャーシーンに違和感を感じているのだ。

 業界の現状を憂い、内に秘める思いがあるからこそ言わずにはいられなかった。「メジャーシーンに出ていない音楽家の中にも、世界レベルに引けをとらない、素晴らしい音楽が多く存在しているんです。だから、才能ある人を埋もれさせない為にも業界を覆さなければならない。今までのスタンスを見直すことは非常に大変な改革ではありますが…。音楽に携わっている人たちが“人間の精神の健康のためにいる存在なんだ”と本来音楽が持つ意味を考えるようにならないと」。

 「Tail’z」は実力にしても実績にしても非力な存在だ。何も変えられないかもしれない。だが、真剣に音楽とは何かを純粋に突き詰めているからこそ、辛口になってしまう。

 いま、彼女たちのすべきことは真っ白なキャンバスに「Tail’z」という名の“アート”を描き続けること。ゆっくりでいい。少しずつでも“筆”を進めることで思いは世代を超えて伝わっていくはずだ。

    
Tail’z

Tail’z

バンド名 Tail’z
読み テイルズ
ジャンル ポップス
結成 2004年
拠点 都内
HP http://www.geocities.jp/izumidarika/index.html

▼メンバー 泉田理歌(Vo)、壬菜(Gt)、斎藤麻莉(Pf)
▼PR 一時の新しさではない、「何十年聴いても、常に発見のある作品」を目指して音創りをしています。音源だけでなく、ライブも同様です。是非生の音世界を体験しに来てください。


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