頑張れ!インディーズ File25
ニュージーランド人が泣いた、showgenzの歌声
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東京・新宿の繁華街をホームグラウンドにする、“アコーステックロック”歌手のshowgenz。6月21日に新宿ゴールデン街劇場で行われるワンマンライブに向けて、日々疾走している。音楽とは別の世界でも生きていけたはずだが、歌を選んだ37歳。日本語が全く分からない外国人が感動して泣いたという歌声が今年の夏、注目だ。
トム・クルーズに自分のCDと連絡先を渡した男
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懐に忍ばせたプラスチックケースを握った男。手のひらは汗で濡れていた。もうすぐアイツがやってくる。身長175センチ。男より5センチも低いが、自信にみなぎった身のこなしでより大きく見える。
近づいてきた。どうしよう。屈強なボディガードが鋭い視線で威圧する。やめようか。でも今しかない。男は勇気を振り絞り一歩踏み出した。
「This is my song.Prsent for you.」。夢中で何を言ったか覚えていないが、多分、そんなことを言ったのだろう。ケースに入ったCDを手渡されたアイツは、男でもとろけてしまうような微笑で応えた。「Oh!Thank you.」。2003年、ニュージーランド。showgenzこと、本名田中祥元がCDを半ば押し付けた“アイツ”は、俳優トム・クルーズ。3カ月間、映画「ラスト・サムライ」の撮影に殺陣で参加したshowgenzが、撮影セットに入るほんのわずかな時間を利用した、“奇策”だった。トムは撮影の合間か、くつろいでいる時間に聞いてくれたはずだ。「メールアドレスも書いたし、もう連絡が来るころでしょう」。とても前向きなshowgenzである。
昭和の匂いがする街で哀愁漂う歌を歌う
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ボクシングのインターハイLミドル級チャンピオンでソウル五輪の元強化選手。着物の着付けも出来て、趣味の写真では受賞歴もある。「ラスト…」の撮影参加も特異な経歴だが、多彩な才能がありながら高校時代から一貫して続けてきたのが音楽活動だった。「リングに上がった次の日に顔中ボコボコのまま、ライブをやったこともあった」。
ニュージーランドでは撮影の合間に街に出て、慣れない英語で歌手であることをPR。「言葉がわからなくても音楽は世界共通。認めてくれる人も多かった」と、地元のFM局にも出演した。「日本語は分からないけど、なぜか涙が出る」と言われたひと言が励みになっている。
当初はパンクロック系バンドで、という考えだったが、ソロとなり今はアコーステックギター、ピアノなどを使ったものに。初めて聞いた人には、井上陽水をイメージするのではないか。タイトル「1968、夏」という歌は、「センプウキ」をみつめながら、「遠い夏の日」を懐古するという、フォークソング的な要素が入った曲。「年齢層の高い人、東京に出てきた地方出身者に聞いてもらいたい」と話すが、新宿ゴールデン街という昭和の匂いがする場所を拠点にしている背景にとても合っている。
俺は、行き着くところまで行ってやるぜ!
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実体験や周囲の人間の話にヒントを得て歌詞を組み立てるケースはよく見かけるが、showgenzの場合は「眠っている時に夢で見た映像、景色を表現する」。そのためなのだろう、詞はshowgenzワールドともいうべき、独特の世界が展開している。「キ、ミ、ノ、ユ、メ、ノ、ナ、カ。飛び込みたい僕は僕は僕は チューニングの狂ったギター」(キ、ミ、ノ、ユ、メ、ノ、ナ、カ。)など、持ち歌の中に夢という言葉がたくさん散りばめられているのも特徴だ。
目標は「売れたい」とかなり正直。「応援してくれた人に少しでも恩返しをしたい。紅白歌合戦に出られれば、とも思う」と分かりやすくもある。showgenzの末尾のzは「行き着くところまで行ってやろうという覚悟でつけた」。多くの可能性の中から音楽を選択したことへの後悔はない。
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