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頑張れ!インディーズ File17

頑張れ!インディーズ File17

現役ドクターが放つ「生もの」のメッセージ

木村至信バンド
Photo By スポニチ

 クオリティーの高いステージパフォーマンスに、表現力豊かな歌唱力。圧倒的な存在感を放つボーカル・木村至信が率いるのが「木村至信バンド」だ。現役の医者という異色の顔を持つ木村から発信される「生もの」のメッセージ、激しくそして心に届くライブパフォーマンスが、聴く者の胸に響く。最新アルバムからプロデューサーにポップス界の巨匠・小西貴雄を招き、質の高いサウンドはさらに磨きがかかった。CD販売枚数8000枚。実力、実績を兼ね備える真のライブバンドの注目度はますます上がっている。

音楽も医学も「生もの」に接するということは共通

木村至信バンド
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━━技術、経験値…実力申し分なしの3人

 木村至信 元々、ひとりで弾き語りで活動していたいたのですが、バンドでやる形がいいと思ったんです。うまい人を集めてきてライブにすれば当然うまいライブはできるけど、バンドって人であり歴史なので、足し算じゃなく掛け算のパワーが出るんですよね。この人たち(塩澤タモツ、枝智之)にしかない音にすごく傾倒しだして、ちゃんとした固定メンバーになり、少しずつ変わったりしながらつくってきている感じです。

━━なかでも、木村さんは現役医師というもう一つの顔を持つ

 木村 医学生のときは、医療って午後5時に終わるので時間がみえるんですよ。なので完全にスイッチが2つあって、夜になると音楽のスイッチが入っていたんです。ただ、だんだんこうやってファミリーとかメンバーが増えていくと、私の持っている2つのスイッチでは対応しきれないし、スイッチを持っていることで得るものもあれば失うものもある。自分の心の中に受け皿ができてしまうというか。なのでおととしの10月に(勤務していた)医大の付属病院を辞めました。それまではどこかアマチュアっていう気持ちがあって、逃げられる状態だったんで。

 枝 彼女が(大学病院での勤務を)断ち切って、バシってやろうとするところに僕らは惹かれるし、この人とやっていくんだっていう気持ちがふつふつとわいてくるんです。

 木村 辞めるにあたって全然悩みはなかったですね。(音楽と医学は)すごく違うことではなく、人と接するということ、ちょっと言い方はきついですが生ものに接するという感じは変わりはなかった。医療も生もの、音楽も生もの。辞めるにあたって理解を求めたのは自分の親だったり、職場のスタッフだったり。だから心の中に悩みはありませんでした。

━━医療の道を進んできたことで音楽に生かされていることは

 木村 「すべては芸の肥やし」みたいなものがあるじゃないですか。普通の人の10倍20倍、人の生死を見て知ってしまっているので、そういう面においては芸の肥やしになっているというかアーティスティックになっているとは思う。ただおかげさまで、こと恋愛に関して失うことばかりで…(笑)。大事なときに瞬発力のない恋愛とかそういうのを得意として作品を書いてます(笑)。医学が音楽に生かされるといっても、いいもの悪いもの両面ある感じですね。まあ、負け犬だったりダメな自分を前面に押し出して決して隠さない。私たちがスカした感じで「だからさぁ〜、音楽ってのはさぁ〜」っていうのはめちゃウザイでしょ。このまま、ダメなものはダメでいい。親しみやすさ親近感が私たちの武器ですから。

小西貴雄さんとのタッグでバンドにも変化が

木村至信バンド
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━━売れっ子プロデューサーの小西貴雄さんと前のアルバムからタッグを組み、バンドにも変化が

 木村 前のアルバム「Life is Beautiful」ではバンドとしてプロデュースしていただき、今回(2月22日リリース)の「君だった/これで終わる」は全面的にプロでデュースしていただいた。プロデューサーって人は町のカラオケ名人をちゃんとしたアーティスト、ボーカリストに変える人だと思う。私はエキセントリックな性格で自分のワールドのみで花畑を育て歌っていたんですが、ちゃんとしたひとつの作品、人様の耳に届く歌詞、音楽にしてくれる。知識の量、経験、キャリア…もちろん持っている信頼度が高いですし、「そうですねえ」ってこちらが聞く説得力を持っていらしたので、こうやって一緒にやってこられてる。(小西は)私たちをプロ意識のしっかりあるアマチュア、インディーズに育てたかったようですね。だからインディーズで恥ずかしいものを出しているかといえばそうは思わないし、これはどうしようというのは作っていない。メジャーとインディーズの線をどこで引くかに興味はないですね。

━━ジャンルは「ほかにはない自分たちだけのものを」と言い切る

 枝 ポップスというほど、軟弱なイメージではないかなあ。ポップスってロックとかクラシックとかいろんなジャンルをごちゃ混ぜにして親しみやすくしたイメージがある。だから、僕らの音楽はそのポップスの持つ言葉のイメージよりももうちょっと筋の通った感じ。

 木村 あえて言うなら「ポップ」。ポップなロックとかポップなパンクとか。ポップコーンも。「ポップ」が形容詞で、ウキウキということだと思う。

 塩澤 かっこいいものを取り入れていきたいんです。レゲエとかが持つ精神性のところまではいかないけれど、おいしいところをとってやっちゃう。それは3人の立ち振る舞いでもあって、金はないけどそう見えない人たちというか。楽しい貧乏、かっこいい貧乏、汚くない貧乏…って感じですかね(笑)

━━3月初旬からスタートしたツアーもいよいよ終盤戦。ライブを重ねるごとに手応えをつかんでいる

 木村 ちゃんとしたものをすればちゃんと届くんだなあって。私は10代じゃないので「夢を見ようぜ」「世界を変えようぜ」とかそういうスタンスはとりたくない。すごい若い青少年たちとライブで会うんだけど、彼らが「何にしに来てんの」って斜めからものを見てるところに、「私たちは正しく生きる道を教えに来たんだよ」ではなく、彼らと同じ目線に落として「私もさあ〜、なんだかよく分からないから、その分からないことを伝えに来たんだよねえ〜」っていうとこれが伝わるんです。ジェネレーションギャップとか空間の違い、生きてきたバックボーンの違いなんか関係なく伝わって、彼らの中に何かを残している。ファンクラブに入ってくれたり、CDを買ってくれたりという証を残してくれる。これからもっと歌う場が増えてもやっていけるなあという手応えはありますね。

普通の3人組が武道館のステージに立つまでのサクセスストーリー

木村至信バンド
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━━3人の共通の目標が武道館ライブ

 木村 「ぶどうかん」っていう響きですかね。それから、小さいころ初めてコンサートに行って、あの無駄に長い上り坂にすごい心がときめいたのが憧れで、そういう憧れにしがみついて頑張るのもありかなって。「ビジネスから言えばドームよね」ってかわいくないし、いんちきくさいですよね。

 塩澤 音楽をやるからには武道館って誰にとっても憧れです。普通の3人組が武道館のステージに立つ、そこまでのサクセスストーリーを見てもらえるといいのかな。そういう意味でも過程って大事なこと。でも大事だとは思っているけど、あした武道館でやって言われればやりますよ(笑)小市民ですからね。

 木村 おいしいものがないと頑張れないもん。そううまくは転がらねーぞって分かってるから、飛びつくときには一発で飛びつく。それでまた、ストリートの生活に戻っても決してうらまない。「はい、また3人です」って、そこから行くだけです。

━━個人的な目標は

 枝 晩年は田舎で暮らしたいなあ(一同笑)。とにかく憧れにはなりたい。アーティストとしてドラマーとして「何かかっこいいよね」って言われるような。そのためには現時点をどう過ごすかだし、どう生きて、なにを吸収したら周りに意思が伝わり、パワーを与えられるのかっていうのを日々考えている。それから「ドラムマガジン」の表紙を飾りたいかな(また一同笑)。とにかく映画をみたり、自分を磨いてしっかり相手を守っていくっていうのが基本スタンスですかね。自分がしっかりしないと守れないわけですから。

 木村 医者って医学部を出ればなれちゃうんですよ、教育学部を出れば先生になれるように。興味本位の医療、人を癒すホスピタリティーを語る人が多いんです。私は現役医師であって、現役ミュージシャンであり、自分の目指すホスピタリティーを抱えていきたいので、コラムとか、音のない伝えることをやりたい。人をいたずらにかきたてることでなく、ちゃんと向き合うことってこういうことなんだよって。音楽としては、バンドとしてやっていければいいし、武道館に行ければ。後は風通しのいい空間にいつもいたいですね。周りと協調性を合わせたり社会性を持つのは大事なことだけど、私の中には大切に育ててきたキバだとか怪獣だとかがいるので、それを折られたり、殺されたりするのは嫌。なので風通しのいい自分でいることが大事。いい話でもありトゲもある言葉なんだけど、これが私だから。仕方ないよね。

 塩澤 武道館でやるのが目標なので、それに向かってどう自分が動いていくかですね。(別の数多くのバンドからも呼ばれており)いろんなことを吸収し、新しい空気を取り込んでそれをこのバンドに還元できるならいいですよね。

  

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