葛城ユキさん死去 5月に車いすでステージに がんとの闘い「歌うためなら」不屈の魂

[ 2022年6月27日 18:14 ]

今年5月17日、ジョイントコンサート「夢スター 春・秋」でステージ復帰を果たした葛城ユキさん
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 独特のハスキーボイスとともに「ボヘミアン」のヒット曲などで知られる、歌手の葛城ユキ(かつらぎ・ゆき、本名・田中小夜子=たなか・さよこ)さんが27日午後2時16分、腹膜がんのため、都内の病院で死去した。73歳だった。岡山県出身。昨年4月にステージ4の腹膜がんを患っていることが判明。同年5月から治療を行っていた。

 21年4月22日に都内の病院で、進行度ステージ4の原発性腹膜がんと診断され、同月26日に5月1日から入院することが発表された。それでも発表翌日の27日には、青森県内で行われたコンサートに出演。「歌うために生まれてきたと思っております。ですから必ずステージに復帰します。私は生まれてこのかた、歌手しか目指しておりませんでした。歌うためだったら苦しくても、痛くても耐えます。耐えた先には、必ず春の兆しが見えると思っています」と克服を誓った。

 闘病のかたわら、ステージに立ち、歌を歌う執念は最後まで失うことはなかった。ステージ4のがんで2度の手術を乗り越え、今年5月17日には、千葉・成田市内でユニットコンサートに登場しステージ復帰。約1年1カ月ぶりの歌唱で、車いすに座ったまま「ローズ」を力強く歌い上げた。「ローズ」は元々「どんなに苦しくてもいつか大輪の花が咲くことを信じて頑張ろう」という思いが詰まった名曲。「まさか自分を励ます歌になるとは思いませんでした」と笑い「皆さまのおかげで、歌える葛城ユキに少し戻ることができました。まだ本来の姿ではありませんが、いつか戻れるよう元気にならないといけません。応援よろしくお願いします」と一礼した。

 「2時間で22曲を歌うワンマンライブをやれるようになるにはまだ遠いですね。入院前に復帰宣言をしていたので、ステージに帰ってくる義務があったからこそ頑張れた。少しでも早く戻れるよう、一歩ずつ歩み寄りたい」と語っていた。最後の最後までロック界の女王は不屈の精神でステージに立つという思いは失われることはなかった。

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