吉村知事「国による脅し」 政府が一転現金一括給付に難色 5万円クーポンが基本との方針にいら立ち

[ 2021年12月9日 05:30 ]

 大阪府の吉村洋文知事(46)が8日夜に、自身のツイッターを更新。政府の対応について、憤慨気味に投稿した。

 「国による脅し。国が財源措置しないとなれば、大阪市は10万円一括の現金給付はできない。5万、5万の2回に分けよ、2回目はクーポンで900億円の税金負担が増。市町村の事務負担も増。この判断、誰が得する?」

 文脈から“怒り”の色がにじみ出ているようだった。話題は、政府が新型コロナウイルスの経済対策として実施する18歳以下の子供への10万円相当の給付に関してのもの。前日7日、松野博一官房長官が記者会見で「自治体の実情に応じて現金給付も可能とする」と発言したことで、大阪市の松井一郎市長(57)は現金と5万円分のクーポンに分ける案を否定し「(国から)何もペナルティーがなかったら現金でやる」といち早く表明していた。10万円の一括給付にも意欲を示して「財政調整基金で立て替えてでもやる。1回で作業が済む」と強調。多額の準備期間やコストがかかることへの懸案が解消するとの見立てだった。

 ところが、8日に急転。政府が「5万円分はクーポンを基本」とした見解を出し、「(事務を担う)自治体の実情に応じて現金給付も可能とする」との立場を取った。大阪市によると、政府による説明会ではクーポン給付ができない場合は理由書の提出が必要で、その例としてコロナの感染拡大時や大規模災害時といった特殊な状況が挙げられたという。

 松井市長は政府見解について不明確だと批判。「基本とはどういうことか、はっきりしてほしい。今週中に方向性を示してほしい」と強調した。10万円を全額現金給付にした場合、国から「趣旨が違う」としてクーポン分を財源措置されない可能性を示唆されたとも明かし「ダメならダメとはっきり言ってもらわないと準備できない」と憤った。どんな場合に認められるのか、基準を早期に示すよう政府に要求している。

 現状、政府は「地方のご意見を伺いながら具体的な運用方法を検討する」(岸田文雄首相)との回答を繰り返すのみで、吉村知事の投稿は政府の紆余曲折する対応ぶりに苦慮したもの。前日には、全額を現金給付することに賛同して「これだと全国で900億円とされる税金経費もかからない」と投稿してた同知事だが、この日の「この判断、誰が得する?」との言葉には、結局は900億円の税金を負担する国民に対して、やるせない思いがこもっているようだった。

続きを表示

2021年12月9日のニュース