「カイジ」作者・福本伸行氏 友人の卓球・水谷を祝福「日本卓球界の宝だ」 本紙取材に

[ 2021年7月28日 05:30 ]

水谷、伊藤ペアを祝福する福本伸行氏の直筆サイン入り色紙

 卓球の水谷隼(32)が東京五輪混合ダブルスで日本卓球界初の金メダルを獲得したことを受け、友人で「カイジ」「アカギ」などのギャンブル漫画で知られる福本伸行氏(62)がスポニチ本紙取材に祝福のメッセージを寄せた。中国ペアを破った26日の決勝戦をテレビ観戦し、水谷に祝福メッセージを送信。感動そのままに水谷とカイジを描き「水谷は日本卓球界の宝だ」と書き込んだ色紙を本紙に寄稿した。

 水谷とは2013年に知人を介して知り合い、時に麻雀卓を囲み、食事するなど交流を深めてきた。「カイジ」のファンで「勝負にどんな心持ちで臨めばいいのか」と質問を受けたことも。「“君がよく知ってるだろう。俺の漫画は妄想だ”と答えたが、考えている様子だった」といい、普段から勝負について向き合っている真摯(しんし)な姿勢が浮かび上がった。

 人柄は「おとなしく気さくで偉ぶることもない好青年。麻雀でも怒ったりしない」。だが、試合では福本ワールド顔負けの「勝負師」だ。25日の準々決勝ドイツ戦で、あと1点落とせば敗退という土壇場で強打した場面を振り返り「バーン!と行きましたね。あれは凄かった」とその度胸を絶賛。自身は漫画で命ギリギリの心理戦と緊張感を描くが「彼は本当の修羅場をくぐっている。僕の漫画とは違う」と舌を巻いた。

 ドイツ戦では、ペアを組む伊藤美誠(20)と流れを見て前衛と後衛を交代するなど、伊藤の良さを引き出す戦いぶりを見せた。福本氏は「あの時、水谷さんが弁慶、美誠ちゃんが義経に見えた」という。メダルに長く手が届かなかった日本勢の先頭に立って戦い、後輩たちに背中を見せてきた水谷。「彼が日本卓球に与えた影響は計り知れない。これからも背中で日本選手を鼓舞してほしい日本の宝」と称えた。

 個人で日本勢初の銅メダルを獲得した16年のリオ五輪後は、目の不調などに苦しんだ水谷。新型コロナウイルスの感染拡大から五輪の開催に否定的な声もあった。そんな「ざわざわ…」を吹き飛ばす活躍を「まるで冒険活劇を見てるようだった」と興奮は冷めやらぬ様子だ。

 8月1日から始まる男子団体戦に出場する水谷に「混合ペアの勢いそのままに頑張って、チームの精神的支柱になってくれるはず」と期待。さらには「この調子で3年後のパリ五輪も頑張ってほしい」とエールを送った。

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