サンド富澤、限界寸前だったドン底時代…乗り越えられたのは「伊達のためなら頑張れる」という思い

[ 2021年3月24日 21:57 ]

「サンドウィッチマン」の伊達みきお(左)と富澤たけし
Photo By スポニチ

 お笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきお(46)と富澤たけし(46)が24日放送のNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」(水曜後7・30)に出演。売れなかったドン底時代の苦しみと、相方への思いを赤裸々に語る場面があった。

 2人の出会いは高校のラグビー部。お互いの第一印象を、伊達は「同じような体型のヤツがいるな」、富澤は「目の可愛いヤツがいるな」と懐かしみながら笑う。高校卒業後、伊達は父親の勧めで営業マンとして働き始める。そこに富澤がコンビ結成を持ちかけた。

 ただ、「俺はいいよ、そんなのできないよ」と伊達は頑なに拒否。富澤は3年もの間誘い続け、ようやく口説き落せたという。伊達は「決め手はね、大好きだったおじいちゃんが亡くなって。『人って死ぬんだな。もっと好きなことやらないといけないな』と思って」と理由を話した。

 24歳、芸人を始めるには遅い年齢だった。「3年で結果を出せなかったら諦める」と両親を説得し上京した。1DKでの2人暮らしから始まった新生活、現実は想像以上に厳しかった。小さな芸能事務所に所属したものの、ライブの場所を自分たちで探すしかなく、「チケットを自分らが買って、それをお客さんに売って。売れなかったら自腹なんです。何のひっかかりもなくて、ただ日にちだけが過ぎていく」と、ドン底時代を振り返る伊達。

 気付けば6年が過ぎ去り、2人は30歳寸前。伊達は「本当にひもじいですよね、世間から必要とされてないって自分が感じてるわけですから。誰からも期待されずにね、バイトをするために東京に来たんじゃないってずっと思ってましたから」という。富澤は「人生を狂わせてるわけですから。伊達の親には死んで詫びるしかないなって」とポツリ。もう、精神的にも経済的にも限界が来ていた。そして、ついに富澤は「もう辞めよう」とコンビ解消の決断をする。

 しかし、伊達は「30歳になる1年間、一生懸命やってみようよ。それでダメだったら『もう辞めっぺ』って言ったんです。なんかね、あいつが自殺すんじゃねえかなって。そういうヤツなんですよ。それは阻止しないといけないし」と思ったという。富澤は「『これで終わりだな…』と思ってたら、そうじゃない返事が返って来て。だけど、だいぶホッとしましたね。そこでうなずかれたら終わりなんで」。“あいつのためなら頑張れる”その思いで富澤は伊達のためにネタを書き続けた。

 そんな2人に幸運が舞い込む。ライブを偶然見かけたテレビ局のスタッフがきっかけで、05年に地上波初出演。勢いづく2人は「M-1グランプリ」を優勝するという大きな目標があったが、準決勝をどうしても突破できない。伊達は「たぶん僕のせいなんですよね。僕のツッコミが決勝レベルじゃなかったんです。ボケは良い、台本もいい、僕のツッコミが相当下手だったんですね。だから、いろんな人を研究しました」と語る。

 富澤は「いろんなライブに出て、ネタをかけての繰り返しですね。もっと感情を入れるということです。そこは変えました」。借金は2人合わせて300万円までに膨らんでいた。でも「辞めよう」という言葉はもう出なかった。07年の「M-1グランプリ」、また準決勝で敗れた。しかし、敗者復活戦を制し決勝進出。その勢いのまま爆笑をさらい「M-1」史上初の敗者復活からの優勝を果たした。

 「嬉しかったんでしょうね、富澤から抱きしめて来たんです」と伊達は満面の笑み。“あいつのためなら頑張れる”お互いがお互いのことを思うことで、コンビの芸は研ぎ澄まされていく。富澤は「あいつは1人でもできるかもしれないですけど、俺は1人じゃできない。サンドウィッチマンに限っては、半人前同士な気がします」。伊達は「コンビでずっとやっていきたいと思います。コンビの夢って辞めないことだと思うんですよ。あいつ(富澤)は膝に水が溜まってるんで、立てなくなるときがくると思うんですよ。そのときは俺が車いすを押して、舞台に立とうと思います!」と笑わせた。

続きを表示

2021年3月24日のニュース