沢尻容疑者に「無罪請負人」“ゴーン弁護士”「自分のものではない」突破口に急転不起訴も

[ 2019年11月21日 05:45 ]

沢尻エリカ容疑者逮捕

沢尻エリカ容疑者
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 合成麻薬MDMAの所持容疑で逮捕された女優沢尻エリカ容疑者(33)の主任弁護人を、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告の主任弁護人で「無罪請負人」として知られる河津博史弁護士が務めることが20日、分かった。

 スポニチ本紙の取材では、この日までに沢尻容疑者の留置先の東京湾岸署で姿が確認された弁護士は3人。その筆頭格がゴーン氏の弁護団の主任弁護人を務める河津氏。同じ法律事務所の古橋将弁護士らとの強力タッグだ。

 河津氏は早大法学部卒業後、99年に弁護士登録。「ロス疑惑」などで知られる弘中惇一郎弁護士とタッグを組み、多くの有名事件を手がけた“無罪請負人”。09年の「郵便不正事件」では厚労省の村木厚子元事務次官、12年の「陸山会事件」では小沢一郎氏の無罪を勝ち取った。陸山会事件時に弘中弁護士と“保釈のスペシャリスト”の高野隆弁護士らを結びつけ、ゴーン弁護団でもチームを組む。

 また、日弁連では刑事司法の調査・研究を担う刑事調査室室長も務めている。

 そんな弁護団はどのような方法で剛腕を発揮していくのか。ポイントになるのは、本紙の取材で明らかになった沢尻容疑者の「(MDMAは)彼氏のものを預かった」という説明。刑事事件に詳しい亀井正貴弁護士は「MDMAの違法性を認識して所持していたなら起訴される可能性は極めて高い」とした上で「沢尻容疑者の主張が事実なら弁解の余地がある。起訴猶予の可能性も出てくる」と説明した。

 亀井氏によると、自己使用の目的がなければ、常習性が認められず、依存症の恐れもなく、再犯の可能性もなくなってくるという。加えて尿鑑定も陰性だったことも重要になる。「所持は有罪であるけれども、こうした有利な事実が固まっていけば、起訴猶予も否定できない」という。

 剛腕弁護団は「自分のものではない」という言葉を立証していくことになる。MDMAを預けた交際男性は沢尻容疑者の逮捕直後、知人らに「あれは彼女のものではない」という趣旨の話をしたとの情報もあり、この男性に話を聞くなど主張を裏付ける材料を集めていくことになる。

 ▼起訴猶予 不起訴処分の一つ。「犯人の性格や年齢および境遇、犯罪の軽重および情状ならびに犯罪後の状況」が考慮される。起訴されれば有罪は確実だが(1)罪が軽い(2)示談で和解が成立(3)反省している――などがあり、起訴に至らないことを指す。不起訴の約9割が起訴猶予という。

 ▽郵便不正事件 障がい者団体への郵便料一部免除制度を利用できるよう実体のない団体に証明書を偽造したとして、大阪地検特捜部は09年6月に厚労省の雇用均等・児童家庭局長だった村木さんを逮捕し、その後起訴した。
 10年9月に大阪地裁が村木さんに無罪判決を言い渡した直後、証拠品のフロッピーディスクのデータが、検察側の見立てに合うよう書き換えられていたことが発覚。最高検察庁はデータを書き換えたとして、文書偽造事件で主任検事ら3人を逮捕。3人はいずれも懲戒免職となった。

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