【2018年高視聴率ドラマ30傑】新たなヒット作が数多く生まれた１年　ＳＮＳでの発信力が必須に

２０１８年に連続ドラマで主演した（上段左から）「義母と娘のブルース」の綾瀬はるか、「半分、青い。」の永野芽郁（下段左から）「グッドドクター」の山崎賢人、「リーガルＶ　〜元弁護士・小鳥遊翔子〜」の米倉涼子、「今日から俺は！！」の賀来賢人
Photo By スポニチ

　２０１８年の高視聴率連続ドラマ（ビデオリサーチ調べ、関東地区）が出そろった。トップ３はＮＨＫ連続テレビ小説「半分、青い。」「まんぷく」「わろてんか」の３作品が独占。民放トップは「嵐」の松本潤（３５）が主演したＴＢＳ「日曜劇場　９９・９―刑事専門弁護士―　ＳＥＡＳＯＮ２」が最終回に記録した２１・０％。今年の民放連続ドラマで唯一の大台超えで、同作を筆頭に４位〜６位がＴＢＳとなった。トップ３０に１２作品もランクインしたテレビ朝日はシリーズものを中心に安定感を見せつけた。

　◆トップ３はＮＨＫ朝ドラ

　今回は集計を連続ドラマに限定。２０１８年に放送された連続ドラマを対象とした。ＮＨＫ連続テレビ小説で期間内に放送された全３作品でトップ３を独占。永野芽郁（１９）がヒロインを務めた「半分、青い。」が唯一の２４％超えで１位。今までにない朝ドラとして、賛否両論を巻き起こし、ネットを中心に大きな話題となった。現在放送中の「まんぷく」、３月まで放送されていた「わろてんか」も高視聴率を獲得。大河ドラマ「西郷どん」はやや伸び悩み、５回目の放送で記録した１５・５％が最高だった。

　民放で強さを見せたのはＴＢＳ。民放トップ３を独占するなど、トップ３０に６作品がランクイン。定番枠「日曜劇場」からは３作品が入った。「９９・９」は１６年４月期に放送された大ヒット作の続編。固定ファンに加え、小ネタ満載の作品にＳＮＳが沸いた。「嵐」の二宮和也（３５）が初めて外科医役に挑戦した医療ドラマ「ブラックペアン」も新作ながら１８・６％（最終回）で６位と大健闘。一方、同じく人気作の続編となった阿部寛（５４）主演の「下町ロケット」は１６・６％（最終回）で、トップ１０入りを逃した。

　火曜ドラマ枠では、綾瀬はるか（３３）主演の「義母と娘のブルース」が１９・２％（最終回）と大台目前まで数字を伸ばして５位に。金曜ドラマからも“記憶に残る”ヒット作が生まれた。石原さとみ（３２）主演の「アンナチュラル」は最終回１３・３％を記録。今年最大のヒット曲となった主題歌、米津玄師（２７）の「Ｌｅｍｏｎ」もドラマの人気を支えた。作品としても「東京ドラマアウォード２０１８」で主演女優賞、脚本賞、演出賞、特別賞、主題歌賞の５冠を獲得するなど高い評価を得た。戸田恵梨香（２９）とムロツヨシ（４２）が究極の愛の物語を演じた「大恋愛〜僕を忘れる君と」は、絶妙なキャスティングとともに、ネットを中心に“泣ける”と大きな話題となり、最終回は１３・２％をマークした。

◆テレ朝、30傑に12作品ランクイン

　昨年、全作品の中でトップとなる２５・３％を記録した米倉涼子（４３）主演の「ドクターＸ〜外科医・大門未知子〜」を生み出したテレビ朝日は、今年も安定感抜群。いわゆる「相棒」枠と言われる水曜９時をはじめ、木曜８時の木曜ミステリー、「ドクターＸ］の木曜９時のドラマ３枠から全１２作品がランクインした。中でも、米倉が新作に挑んだ「リーガルＶ　〜元弁護士・小鳥遊翔子〜」が１８・１％（第２話）で７位に食い込み、同局の作品ではトップ。木村拓哉（４６）が初のボディーガード役を演じた「ＢＧ」も最終回に１７・３％を記録した。

　定番シリーズはもはや貫禄の域。「相棒ｓｅａｓｏｎ１６」「相棒ｓｅａｓｏｎ１７」はともに１７％超えでトップ１０入り。「科捜研の女」もシーズン１７、１８ともに１４位、１５位に。昨年３月に亡くなった渡瀬恒彦さん（享年７２）が主演した「警視庁捜査一課９係」がリニューアルし、Ｖ６の井ノ原快彦（４２）主演で生まれ変わった「特捜９（ナイン）」が初回１６％で１２位となった。そのほか「警視庁・捜査一課長　ｓｅａｓｏｎ３」「刑事７人」第３シリーズ、「遺留捜査」第５シリーズなどは安定の人気。波留（２７）が主演した新刑事ドラマ「未解決の女」も初回１４・７％と健闘した。

◆３冠王の日テレは「今日俺」ヒット　フジの復調は…

　厳しい戦いとなったのは日本テレビとフジテレビ。日本テレビはランクイン数こそ、５作品とまずまずだが、「もみ消して冬」の初回で記録した１３・３％（２１位）が同局のすべての作品の中で最高。例年ヒット作が多く生まれる水曜１０時枠も苦戦した。そんな中、ムーブメントを生んだのが賀来賢人（２９）が主演した日曜ドラマ「今日から俺は！！」。１桁からのスタートだったが、回を追うごとにＳＮＳなどで話題沸騰。最終回前に２桁に到達し、最終回で自己最高の１２・６％を記録。午後１０時半という遅いスタートながら、好成績を残した。

　フジテレビは昨年と同じく３作品がランクイン。「月９」からは、織田裕二（５１）主演の「ＳＵＩＴＳ」、沢村一樹（５１）主演の「絶対零度　〜未然犯罪潜入捜査〜」の２作品が入った。上下動はあったものの、２期連続で平均２桁を獲得し、復調の兆しも見えた。また、山崎賢人（２４）主演の「グッド・ドクター」は最高１３・０％で健闘。約４年ぶりの木曜劇場枠で平均２桁を獲得し、見逃し配信などでも記録を作った。

◆「おっさんずラブ」が代表格　数字では図れないヒット作も…

　一方、今年は単に視聴率だけでは計れないヒット作も複数生まれた。その代表格がテレビ朝日「おっさんずラブ」。午後１１時台の深夜枠で、数字的には最高５・７％、全７話平均３・９９％だったが、放送中からツイッターの世界トレンドで１位を獲得するなど大きな話題に。主演の田中圭（３４）もブレークし「東京ドラマアウォード２０１８」で連続ドラマ部門のグランプリを受賞。田中の主演男優賞、吉田鋼太郎（５９）の助演男優賞と３冠。グッズは爆発的に売れ、イベントも大盛況。さらには映画化まで決まり、今月３日に発表された流行語大賞でもトップテン入りするなど、今年を代表する連ドラの一本となった。

　全体を総括すると、シリーズものだけでなく、新たなヒット作が数多く生まれた１年と言えそうだ。トップ１０の内訳では、連続テレビ小説３作品、続編が３作品、残りは新作。原作ものもあり、オリジナルもあり、「９９・９」のようにオリジナルの続編というパターンもありと、「おっさんずラブ」を含めて、今年の連続ドラマは例年になく、バラエティーに富んだ充実したラインアップだった印象。また、昨年にも増して、ＳＮＳでの発信力が連ドラヒットには欠かせない要因となったと言えそうだ。



【２０１８年の高視聴率ドラマベスト３０】（２０１８年に放送された連続ドラマのみが対象）

（１）２４・５％　　８月　８日　ＮＨＫ　連続テレビ小説・半分、青い。

（２）２３・８％　１０月　１日　ＮＨＫ　連続テレビ小説・まんぷく（初回）

（３）２２・５％　　２月１６日　ＮＨＫ　連続テレビ小説・わろてんか

（４）２１・０％　　３月１８日　ＴＢＳ　日曜劇場・９９・９―刑事専門弁護士―　ＳＥＡＳＯＮ２（最終回）

（５）１９・２％　　９月１８日　ＴＢＳ　火曜ドラマ・義母と娘のブルース（最終回）

（６）１８・６％　　６月２４日　ＴＢＳ　日曜劇場・ブラックペアン（最終回）

（７）１８・１％　１０月１８日　テレ朝　木曜ドラマ・リーガルＶ　〜元弁護士・小鳥遊翔子〜

（８）１７・９％　１０月２４日　テレ朝　相棒ｓｅａｓｏｎ１７

（９）１７・３％　　１月３１日　テレ朝　相棒ｓｅａｓｏｎ１６

（９）１７・３％　　３月１５日　テレ朝　木曜ドラマ・ＢＧ（最終回）

（１１）１６・６％　１２月１９日　ＴＢＳ　日曜劇場・下町ロケット（最終回）

（１２）１６・０％　　４月１０日　テレ朝　特捜９（初回）

（１３）１５・５％　　２月　４日　ＮＨＫ　大河ドラマ・西郷どん　１５・５％

（１４）１５・１％　　５月１５日　テレ朝　木曜ミステリー・科捜研の女＜シーズン１７＞

（１５）１４・７％　　４月１９日　テレ朝　木曜ドラマ・未解決の女（初回）

（１５）１４・７％　　７月１２日　テレ朝　木曜ミステリー・遺留捜査＜第５シリーズ＞（初回）

（１５）１４・７％　１２月１３日　テレ朝　木曜ミステリー・科捜研の女＜シーズン１８＞（最終回）

（１８）１４・２％　　５月１０日　テレ朝　木曜ミステリー・警視庁・捜査一課長　ｓｅａｓｏｎ３

（１８）１４・２％　１０月　８日　フジ　月９・ＳＵＩＴＳ／スーツ（初回）

（２０）１３・５％　　９月　５日　テレ朝　刑事７人＜第３シリーズ＞

（２１）１３・３％　　３月１６日　ＴＢＳ　金曜ドラマ・アンナチュラル（最終回）

（２１）１３・３％　　１月１３日　日テレ　土曜ドラマ・もみ消して冬（初回）

（２３）１３・２％　１２月１４日　ＴＢＳ　金曜ドラマ・大恋愛　〜僕を忘れる君と（最終回）

（２４）１３・０％　　８月２３日　フジ　木曜劇場・グッド・ドクター

（２５）１２・６％　１２月１６日　日テレ　日曜ドラマ・今日から俺は！！（最終回）

（２６）１１・９％　　７月１９日　テレ朝　木曜ドラマ・ハゲタカ（初回）

（２７）１１・８％　１０月１３日　日テレ　土曜ドラマ・ドロ刑（初回）

（２８）１１・７％　　７月３０日　フジ　月９・絶対零度　〜未然犯罪潜入捜査〜

（２９）１１・５％　１０月１０日　日テレ　水曜ドラマ・獣になれない私たち（初回）

（３０）１１・４％　　９月１２日　日テレ　水曜ドラマ・高嶺の花（最終回）